不合格でした

2014年9月24日 日常
平成26年は論文不合格でした。

租税法は20番以内でしたが
民事系がよく足きりくらわなかったね。ってレベルで無理でした。

とりあえず、バイトしながらまた来年ということで。

余談ですが…
自分なんかでも租税法いい点とれるので、租税法お勧めですよ。
2週間くらいで用意できるんじゃない(笑)
ここにある論証はつかわない方がいいよ。なぜならば、他の人にいい論証をタダで教えるわけがないから。

いきててすいません
択一合格してました。

租税法の点数が楽しみです。
・「退職給与」該当性(H21)恣意的な損金算入をさけるために、形式でなく実質的に判断する。
形式的な退職だけでなく、単なる分掌変更も退職に含まれる。ただし、給料の後払い的性格のある退職金債権が現実化していることが要請されるから、分掌変更が退職と同視される必要がある。
具体的には、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情があると認められる場合には、退職金として支払われた金員を退職給与として取り扱ってもよい。
dに対する役員報酬は,原告の決算の赤字が続いているにもかかわらず,平成13年10月に従来の月額75万円から月額95万円に増額されており,平成14年4月に月額45万円に減額されている経過は不自然であり,法人税の納付を回避することを目的とするものであるから,実質的に報酬の激減があるとはいえない。
分掌変更後も,経営上の重要な事項については経験豊富なdが決定していたと容易に推認できること,主要な取引先に対して代表者の交代の事実を知らせていなかったことなどからすると,dは分掌変更後も実質的に経営上重要な地位を占めている役員に該当し,原告を主宰していることに変わりがないので,実質的に退職したと同様の事情があるとは認められない。
締役を辞任した後も,常勤の監査役となっており,また,その配偶者と併せて,原告の株式の48.2%を有しているから経営の支配権を有している。


・事業主基準
事業主は資産勤労結合所得の性質をもつので、「享受する者」の解釈が問題になる。
所得税法12条の趣旨は、人的帰属につき形式と実質が相違している場合には、実質に即して帰属を判定すべきであるものとする。これを事業取引の観点から実質をみると、棚卸資産の真実の権利者が実質的に真実の取引主体がなるのであるから、「享受する者」とは、私法上の真実の取引主体である事業主のことをいうと解釈する。
あてはめPOINT
事業活動の基本となる出店の契約締結、開業資金の調達、営業内容、店舗設備の決定、仕入れ、売上の官吏、従業員の雇入れ等

第1 甲の罪責
 1 社員総会議事録の作成行為
 (1) 甲は無断でA社社員総会議事録を作成しているため、有印私文書偽造罪(刑法(以下省略する)159条1項)及び同行使罪(161条1項)が成立しないか。
 (2)まず、行使の目的が認められるか。
  行使の目的とは、文書の証拠に対する公共の信頼の保護を目的とすることから、真正な文書として認識可能な状態にする目的のことをいう。
  甲D間の取引は定款記載の代表権制限の手続きを確認する関係にあり、社員総会議事録を真正な文書D社に交付する目的を有しているため、行使の目的がある。
  よって行使の目的が認められる。
 (3)次に、A社社員総会議事録の内容を証明するものであるから、実社会生活に交渉を有する事項を証明する文書といえ、「事実証明に関する文書」にあたる。
 (4)続いて、「偽造」といえるか。
  「偽造」とは、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽ることをいう。なぜなら、文書を作成名義人による意思・観念の表示の証拠として使用することができず、関係者の信用が害されることになるからである。
 本件では、作成者が甲であり、名義人も甲であり人格の同一性を偽っていないため「偽造」にならないのではないとも思える。
 甲D間の取引は、利益相反取引(会社法595条1項)にあたり、A社の定款によれば社員総会により利益相反取引の承認がなされ、社員の互選により選任された社員総会議事録作成者が社員総会議事録を作成する必要がある。そのため、別紙社員総会議事録の名義人は社員の互選により選任された社員総会議事録作成者である代表社員甲である。
 それにもかかわらず、甲はA社社員に無断で社員総会議事録を作成し代表社員甲と署名とともに印をしているため、名義人である代表社員甲との人格の同一性を偽っているといえる。
 よって、「偽造」にあたる。
 (5)したがって、甲の社員総会議事録の作成には有印私文書偽造罪(159条1項)が成立する。
 (6)そして、甲は偽造した社員総会議事録を真正な議事録としてDに対して交付しているから、偽造私文書行使罪(161条1項)が成立する。
 2 甲のDに対する抵当権設定行為
 (1)Aに対する業務上横領罪(253条)
 ア 甲はA社に無断で、本件土地につき抵当権設定登記を行っているから、A社に対して業務上横領罪(253条)が成立しないか。
  本件では、甲は,「A社の委託に基づき業務上本件土地を占有する者」であると同時に「A社の委託に基づきA社の財産上の事務を処理する者」に該当することになる。したがって,抵当権設定行為についての甲の罪責を検討する際には,まず,業務上横領罪を検討すべきか背任罪を検討すべきかが問題となる。
  横領罪の保護法益を「物(個別財産)の所有権及び委託信任関係」,背任罪の保護法益を「全体財産及び委託信任関係」と捉え,両罪の保護法益に重なり合いを認め,法益侵害が一つであることから,両罪の関係は法条競合であり,重い横領罪から先に検討する。
 イ まず、本件土地はA社所有であり、甲の所有であるから、「他人の財物」といえる。
 ウ 次に、「自己の占有」といえるか。「自己の占有」には、事実的支配をされていない物でも不法な領得による所有権侵害が可能である横領罪の特性から、事実的支配のみならず、法律的支配も含まれる。
  本件土地は甲が代表社員として管理しているため事実的支配もあるし、A社では不動産の管理・処分は代表社員が有しているため、本件土地を甲は法律的支配をしている。
  よって、「自己の占有」であるといえる。
 エ 続いて、「横領」といえるか検討する。
 「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為のことをいい、不法領得の意思とは、委任の趣旨に反して所有者でなければできない処分をする意思のことをいう。
 甲は自己の海外での賭博費用で生じた多額の借入金の返済に窮しておりDから一億円を借り受けて返済するためにDに本件土地を担保提供することを企て、A社に無断でDに対して抵当権設定契約をしている。抵当権設定契約は代表社員である甲でもA者の社員の同意がなければ適法にできない処分であり、甲がDと本件土地について抵当権設定をすることは土地の所有者でなければできない処分であるといえ、不法領得の意思が発現する行為であるといえる。
 よって、「横領」であるといえる。
 オ 最後に「業務」といえるか。
  「業務」とは、社会生活上の地位に基づき反復継続して行われる委託信任関係を内容とする事務のことをいう。
 本件土地の処分行為はA社社員という社会生活上の地位に基づき不動産の管理処分権限を有する甲により反復継続して行われる委託信任関係に基づくことを内容とする事務であるといえる。
 よって、「業務」といえる。
 カ したがって、甲にはA社に対する業務上横領罪(253条)が成立する。
(2)Dに対する詐欺罪(246条1項)
 ア 甲は自己の借金返済のためDから現金を詐取したしようと企て、真実は承認手続を経ていないにもかかわらず、(方法として)偽造した社員総会議事録を交付(※このあとに、行使罪との関係で牽連犯を書く事になるからちゃんと指摘する)して承認手続きをあったかのように装い、有効に抵当権設定ができる旨、Dを誤信させ、貸付金名下に現金1億円を交付させて、もって財物をだましとったものである。
 イ よって、甲にはDに対する詐欺罪(246条1項)が成立する。
 3甲のEに対する本件土地売却行為 
(1)A社に対する業務上横領罪
 甲のEに対する本件土地売却行為はA社に対して業務上横領罪が成立しないか。まず、上述の通り、自己の占有する他人の財物、業務、「横領」は認められる。もっとも、甲はいつの時点で「横領」したか問題になる。
 (以下は、契約時ではなく登記移転時にするときの書き方を書く。だから前述した内容からしたらずれてことを書いている)本件土地はEに売却してEへ所有権移転登記をしている。登記が第三者対抗要件となっているから、実害が生じるのは登記時であり、Eに対する所有権移転登記により不法領得の意思の発現があったとみると考える。
 よって、甲はEに対する所有権移転登記の時点で「横領」したといえる。
 甲は担保提供を行って業務上横領罪が成立後、再度同一物につき売却をおこなっている。これは横領罪は信頼を破る罪であり、もうすでにA社に対する信頼が破られているため、不可罰的事後行為になるように思える。しかし、横領罪の保護法益は委託信任関係だけでなく個別の所有権保護を図るため、所有権を移転することからすれば、個別の所有権の侵害がなされている。
 別個の法益侵害がなされているため、不可罰的事後行為にならず横領後に横領罪が成立する。
 したがって、甲にはA社に対して業務上横領罪が成立する。
(2)Dに対する背任罪
 まず、本件土地は、A社所有であり、Dの所有ではないから自己の占有する他人の物といえず、甲にはDに対して横領罪が成立しない。もっとも、甲のEに対する本件土地売却行為はDに対して背任罪(247条)が成立しないか。背任罪の構成要件は、①他人のためにその事務を処理するものが②自己若しくは第三者の利益を図り又本人に損害を加える目的③任務に背く行為をし④財産上の損害である。
 まず、①について検討する。
 まず、甲はDに対して抵当権抹消登記の申し入れをするにあたって、土地を他に売却したりしない等と申し入れ、この申し入れに対してDはもし登記が必要になれば再び抵当権設定に協力をしてくれるだろうと考え甲の申し入れに応じて抵当権抹消登記をしていることから、甲D間に一定の信頼が生じており甲にはDに対して本件土地の担保価値を維持することを内容とする委託信任関係があるといえる。
 よって、甲はDのために本件土地の担保価値を維持する事務を処理するものといえ、①を満たす。
 次に、②について検討する。
 甲には自己の借金返済のために9000万を手に入れる目的であり図利目的であるといえ②を満たす。
 続いて、③について検討する。
 「任務に背く行為をし」とは、誠実な事務処理者としてなすべきものと法的に期待されるところに反する行為をいう。
 甲は誠実な事務処理者としてDとの委託信任関係に基づき本件土地の担保価値維持のため、本件土地を他に売却しないことが期待されている。それにかかわらず、期待に反して甲はEに対して本件土地を売却しているため「任務に背く行為をし」といえる。
 よって、③を満たす。
 最後に④について検討する。
 「財産上の損害」は、経済的見地から本人の財産状態を評価して行う。
 甲はEに本件土地につき所有権移転登記をしているため、Dは抵当権を対抗することができなくなってしまっている。そのため、抵当権の担保価値は下がり、Dの財産状態は減少しているといえ「財産上の損害」が認められる。
 よって、④を満たす。
 したがって、甲にはDに対して背任罪(247条)が成立する。
(3)Eに対する詐欺罪
 甲はEに対して本件土地を処分する権限を有することを装い、Eに対して本件土地を売却しているから、Eに対して詐欺罪が成立しないか検討する。
 まず、詐欺行為とは、財産の交付行為に向けられたものであることを必要とする。
 甲は、Eに対して本件土地の売約代金として1億円を交付させるためにA社社員BCDに無断で本件土地を売却するために必要な書類を乙を介してEに渡して適法な処分権限をあるかのようなに装って詐欺行為をしている。
 次に、錯誤が生じる必要がある。詐欺行為により惹起される錯誤は、錯誤と交付行為との間の条件関係を肯定するだけの錯誤でなければならず、重要な事実に関するものでなければならない。
 甲に本件土地の処分権限があるかどうかは、甲E間の本件土地の売買の無効原因にもなりうることから、重要な事実であり、甲に適法な本件土地の処分権限がないにもかかわらず詐欺行為によりEに錯誤が惹起されている。
 続いて、交付行為については詐欺罪が交付罪であり窃盗罪のとの区別のため、意思に基づく移転がなされる必要がある。
 Eは乙を介して甲に1億円を受領させており意思による交付がある。
 そして、明文はないが詐欺罪も財産犯である以上損害があることが必要であり、詐欺罪は個別財産に対する罪であるから、交付により移転した個別の物の喪失自体が損害である。
 とすれば、社員総会の権限なしに利益相反取引をした場合に取引の安全の観点から、相手方の善意であれば取引は有効となる。EはA社との正規の取引である信じておりまたそのように信じたことにつき過失がないため甲D間の本件土地売買は有効であるため損害がないのではないか問題になるも、一億円の交付がある以上財産の喪失があり損害が認められる。
 そして、以上の甲の行為は詐欺の故意により包摂され、甲は自己の借金返済のため行っているから不法領得の意思も認められる。
 よって、甲にはEに対する詐欺罪が成立する。
第2乙の罪責
  1 業務上横領罪の共同正犯
  甲が本件土地をEに売却した行為について業務上横領罪が成立するが,乙に共謀共同正犯(60条)が成立しないか。
 共謀共同正犯が成立するためには、①共謀②正犯意思③共謀者の実行行為が必要である。
 まず、乙は甲に対し「会社に無断で抵当権を設定しているのであれば、無断で売却しても一緒だよ。」とEへの売却を説得し、甲はこれに同意して決意していると考えられるため、業務上横領罪についての共謀がある(①)。
 次に、正犯意思について検討する
 乙は仲介手数料という利益を得ることを企図して売却行為に関わっており、乙は現実に売却行為により1300万円の利益を得ているため、犯罪によって利益を享受する意思があるといえる。また、乙は売却行為の仲介というEから依頼を受けた乙でしかなしえない重要な行為を行っている。そして、乙はEから本件土地売却の依頼を受けた仲介人であり甲に働きかけるのは当然であり自由競争の範囲内であれば許容される。甲は,乙から本件土地の売却の申し入れを受けた当初,Dとの約束から売却する意思はなく断っているが、その後、抵当権設定も売却も一緒だと乙が甲を説得したことにより甲は業務上横領の犯意を生じさせており、甲の犯意は乙が積極的に働きかけ誘発したものであるから自由競争の範囲内を逸脱した働きかけを行っている。
 よって、乙には正犯意思が認められる(②)。
 続いて、甲は乙を介してEに本件土地を売却しているため、共謀者の実行行為が認められる(③)。
 よって、業務上横領罪の共同正犯が認めれ、乙は非身分者であるから65条の共犯には共同正犯も含まれるため業務上横領罪の共同正犯にも65条適用がなされる。ここで、文言を素直に解釈して65条1項は真正身分犯に適用され、2項は不真正身分犯に適用される。業務上横領罪は業務が不真正身分犯で、占有が真正身分犯の複合的身分犯であるため、65条1項の適用により甲乙は業務上横領罪の共同正犯になるが、乙については65条2項により単純横領罪の科刑に処される。
  2 背任罪の共同正犯
 乙には、甲とのDに対する背任罪の共謀共同正犯が成立しないか。
 乙は甲から本件土地につき他に売却したり他の抵当権を設定したりしないと約束していたことから、乙の申し入れを一度断っている経緯からして、乙は甲がDに対して担保価値維持義務をおっておりことを認識し乙は不正な取引を行い仲介手数料として甲から1000万円Eから300万円を手に入れる図利目的を有しており、甲に対して本件土地の売却を積極的に働きけているから正犯意思を有しつつ、甲と本件土地の売却という「任務に背く行為」をする意思連絡をしているため共謀があるといえる(①②)。そして、甲は乙を介してEに対して本件土地を売却し「任務に背く行為」をしている(③)。
 よって、乙には、甲とのDに対する背任罪の共謀共同正犯が成立する。
  3 詐欺罪の共同正犯
 乙には甲とのEに対する詐欺罪の共謀共同正犯が成立しないか。A社の正規の取引を経ずにEに売却することを甲と共謀し(①)、乙は以前から本件土地の売買に関し、EからA社と話を付けてくれと頼まれており,A社との正規の取引であることがEにとって重要な事実であることを知っていた。それにもかかわらず、乙は積極的に甲に本件土地を無断で売却することを働きかけている。そして、自己の利益のために売却する意思があり,代金を得ているため正犯意思があるといえる(②)。甲が実行している(③) 。
 したがって,詐欺罪の共謀共同正犯が成立する。
第3 罪数
  以上により、甲には①抵当権設定したことにつき業務上横領罪、②有印私文書偽造罪、③同行使罪、④売却したことにつき業務上横領罪,⑤Dに対する詐欺罪の、甲乙には⑥A社に対する業務上横領罪の共謀共同正犯⑦Dに対する背任罪の共謀共同正犯⑧Eに対する詐欺罪共謀共同正犯が成立し、②と③とは通例目的と手段の関係にあるため牽連犯(54条1項後段)となり,さらに、③と⑤も通例目的手段の関係にあるから牽連犯となり②③⑤は科刑上一罪になり、①と⑥は同一の物に対する法益侵害であるから包括一罪にあり、⑤⑥⑦は観念的競合になり業務上横領罪により処断され、乙は単純横領罪の科刑によることになる。以上により、甲はA社に対する業務上横領罪、Dに対する詐欺罪、乙はA社に対する単純横領罪(詐欺罪?)の罪責を負う。

10月31日の日記

2013年10月31日 日常
今日のこと
行政法の短答復習

行政法のレジュメを読む

短答40問
事例研究の解説を読む
事例で考えるの解説を読む

和田民訴

刑事判決起案の手引きを読む
・取引の解釈
外的要因に生じたものでなく、当事者の意図した資産価値の移転があれば足りる。
∵資産価値を喪失する者に対して適正な課税を行うことが法人税法22条2項による収益擬制の趣旨であるとすれば、資産価値が他の法主体へと移転することの認識があればよいと考える


多分増加益精算説的な説明なので書き直す必要がある
計上時期を書くときの注意
益金を書くときは、債権と書き

損金を書くときは、債務と書く


第1 設問1
  1 法的手段
   Fらは、本件建築確認の建築を阻止するために、本件確認に対して、取消訴訟(行政事件訴訟法(以下省略する)3条2項)を提起し、本件確認処分の執行停止を裁判所に求める(25条2項)
  2(1)本件では、本件確認処分には処分(3条2項)、出訴期間(14上1項)、不服申し立て前置、被告適格(11条1項1号)をB県は有することは問題なく認められる。Fらが取消訴訟を提起するためには原告適格(9条1項)が認められることが必要である。
  (2)原告適格が認められるには、Fらは「法律上の利益を有する者」(9条1項)があることをいい、処分の相手方以外の者の法律上保護された利益を判断する際には9条2項の事情を考慮をする。
  3では、Fの原告適格を検討する。
  建築基準法(以下、単に「法」と省略する)1条は、生命身体財産の保護を目的としている、法21条は一定の建築物につき防火に必要な構造を求めている。
 これは、建築物に火災が起きた場合に、ほかの建物への延焼を防ぎ、周辺の建築物に居住する者や建築物を保護する趣旨であるといえる。
 建築基準関係規定(法6条1項)にB県建築安全条例(以下、「安全条例」と省略する)は含まれるが、本件紛争予防条例は含まれない。
 本件紛争予防条例の目的は良好な近隣関係の保持であり、法は建築確認にあたって建築物に一定の構造・配置を求めて事前に紛争を予防しようとする側面があり、これは良好な近隣関係の保持あるといえる。そのため、本件紛争予防条例と法は目的を共通するといえ、本件紛争条例は法の関係法令といえる。
 本件紛争予防条例2条4号イは近隣住民として、中高層建築物の境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に権利を有する者及び当該範囲内に居住する者と定義している。この範囲の者が法によって保護されるといえる。
 以上からすれば、近隣住民(本件紛争予防条例2条4号イ)の建築物に居住する者の生命身体や建築物の財産権を保護する趣旨であるといえる。
 本件では、本件建築物の高さは30メートルであるから、近隣住民は本件建築物の境界線から60メートルの水平距離の範囲内にある土地又は建築物に権利を有するか、居住する者である。
 Fは本件土地から、10メートルの地点にあるマンションに居住している。そのためFは近隣住民として建築物に居住する者であり生命身体を保護される利益が認められる。。
 よって、Fには原告適格が認められる。
 次にGの原告適格を検討する。
 Gは本件土地から10メートルの地点にあるマンションを所有しているから、Gは近隣住民である。そして、近隣住民としてGのマンションの所有権という財産権は法律上保護される利益が認められる。
 よって、Gには原告適格が認められる。HとIは本件土地500メートル離れたマンションに住んでいるため、原告適格は認められない。もっとも、他の法律場保護された利益から、認められないか検討する。
 続いて、Hについて検討する。
 法43条2項から委任されている建築基準関係規定である安全条例27条4号は交通の危険を判断予測したり、回避する能力を十分に行うことができない施設利用者を保護する趣旨である。
 そのため、安全条例27条4号に該当する施設を利用する者を法律上保護している。
 安全条例27条4号は交通の危険を判断予測したり、回避する能力を十分に行うことができない交通弱者である施設利用者を保護する趣旨であるから、「これに類するもの」とは、 交通弱者が多く利用する施設のことをいう。
 本件児童室は、本件図書館内にある1コーナーであるが、本件児童室は児童の利用しやすい設備がととのっており、児童室専用出入り口も用意されていることから、特別に児童の利用が多い場所であるといえ、交通弱者である児童が多く利用する施設である。よって、本件児童室は「これに類する」といえる。
 Hは小学2年生で本件児童室に毎週通っており交通弱者として法律上保護される利益を有している。
 よって、Hは原告適格が認められる。
 最後にIについて検討する。
 IはHの父親であり、交通弱者でないから、法律上保護されず原告適格は認められない。
 以上から、Iには原告適格は認められず、FGHには原告適格は認められて取消訴訟が提起できる。
 4執行停止
  訴えの利益(9条1項括弧書)とは本件建築確認を取り消す必要性のこというが、建築確認は適法に建築ができることができる権利を付与する行為であり、建築工事が完了してしまえば建築確認を取り消す必要性はなくなるため、訴えの利益は消滅する。そのため、建築確認を阻止するために、執行停止の申し立てをする。
 まず、FGHに重大な損害があるか。重大な損害について25条3項の規定に従い判断する。
 本件では、本件建築物がいったい建築されれば、火災が起こった場合や、本件建築物に居住する者が利用する車により交通量がふえ交通事故が発生する場合があり、これらは生命身体とい一度失えば回復することがでいないほどのうかけがえのない法益に関わるものである。そのため、重大な損害があるといえる。
 次に緊急の必要があるか検討する
 一度着工すれば本案継続中に建物が完成する可能性が十分にあり、訴えの利益が消滅する可能性があるため、建築物が完成する前に工事の続行の停止を中止させる緊急の必要はある。
 よって、執行停止(25条2項)は認められる。
第2設問2
 1実体法違反
 (1)安全条例
 43条2項を受けた安全条例4条1項、2項は、接道規制として延べ面積300平方メートル、高さ15メートル以上の建築物は幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならない。本件マンションは、延べ面積が2万1643平方メートルと、300平方メートルをはるかに超え、高さも30メートルと、15メートルを大きく超えている。そのため、法43条2項を受けた安全条例4条1項、2項の要件を満たすから、本件土地は幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならない。
 接道規制(法43条2項、安全条例4条1項、2項)の趣旨は、一般通行の他避難、消防等の上で支障のないようにすることにあるから、「幅員6メートルの道路」とは、車両が何の障害もなく通行できる幅が6メートルあるものを指すと解すべきである。
 形式的には本件道路は幅員6メートルがあり「幅員6メートルの道路」といえる。しかし、本件道路は、L神社によって遮断機が設置されており、遮断機が下りた状態では車の通行が不可能であり、遮断機を上げた状態でも実際に車が通行できる道路幅は3メートル弱しかないことから、実質的にみれば、幅員6メートルの道路に接していないこととなる。これは、接道義務の趣旨にはんするといえ、本件道路は「幅員6メートルの道路」にはあたらない。
 よって、本件道路は、接道規制に反する違法である。
 (2)安全条例27条4号違反
 本件児童室は、「これに類するもの」に該当する。この場合、本件児童室の出入り口から20メートル以内の道路に面して、自動車の出入り口を設けられていない(安全条例27条)が、本件では、児童室専用出入り口から10メートルのところに本件建築物の地下駐車場出入り口が設けられている。したがって、安全条例27条に反するから違法である。
 2手続法違反
 (1)説明会
 建築主は建設計画の内容について説明等によて付近住民に説明しなければならない(本件紛争予防条例6条1項)。
 Aの開催した説明会は、情報の開示が不十分で、住民が質問の機会を与えず、一方的に説明会を打ち切るなど、住民に対する説明という観点からは瑕疵があった。
 しかしながら、説明会の瑕疵は本件確認の違法事由とはならない。なぜなら、計画が建築基準関係規定に適合するときには、必ず建築確認をしなければならない(法6条4項)。 
 よって、この点の違法は認められない。
 (2)公聴会
 行政手続法10条は、公聴会を開催する努力義務が課されている。
 公聴会の必要性を判断するのは行政庁であり、また、公聴会の開催は努力義務である。そして、近隣関係住民の意見は、本件土地の周辺住民で構成するD地域の生活環境をも守る会の申し入れ書を受理することで意見聴取はされている。
 したがって、公聴会の開催義務まではなく努力義務が課されるのみであるから、公聴会を開催しなくても行政手続法10条違反にはならないため違法ではない。
 3Fの主張
 原告は「自己の法律上の利益」に関係ない違法を主張することはできない(10条1項)。「自己の法律上の利益」とは、法律上の利益とは9条1項の法律上の利益は訴訟要件の問題であり、10条1項が本案上の問題であることからすれば、9条1項の法律上の利益と同義ではない。
 したがって、「自己の法律上の利益」とは、原告の利益に関係のない違法に限って主張を禁じている。
 Fは交通弱者ではないから、安全条例27条4号が保護する利益に関係なく、Fの利益に関係ないといえる。よって、Fは「自己の法律上の利益」に関係ないから安全条例27条4号の違法を主張できない。
 本件紛争予防条例違反はFは近隣住民に該当するため、説明会の開催により建築物の工事の内容を把握する立場にありFの利益に関係があるといえる。よって、本件紛争予防条例違反は、Fの「自己の法律上の利益」に関係ある違法として主張することができる。
 Fは本件建築物から、10メートル以内に居住する地点にあるマンションの一室に居住ている者であるから、防災上の観点からFの利益に関係があると言える。よって、Fは「自己の法律上の利益」に関係あるから接道義務違反は主張することができる。

10月11日の日記

2013年10月11日 日常
○リーガルクエスト組織再編読了
→次は、設立部分を読む
○平成20年刑法、平成21年行政法事例研究刑事法1、事例で考える会社法
○平成20年刑法書き直し
○平成21年行政法を解説と書き直し
次やること

事例研究刑事法1の4を検討TKのみ詳細に使用
事例で考える会社法はTKのみにする。木曜日は書く
リーガルクエスト会社法→設立
刑法短答20問
行政法短答30問(とりあえずこれ優先)



処分性と原告適格の当てはめ方はもう一回事例研究と行政法事案分析の作法を読んでやり直す

・収益事業(法人税法2条13号)
法人税法が、公益法人などの所得のうち収益事業(法人税法2条13号)から生じた所得について、同種の事業を行う内国法人との競争条件の平等を図り課税の公平性を確保するなどの観点から課税対象としている趣旨から、収益事業に該当するかは①対価性(何かの対価、喜捨的性格)②ほかの(民間)事業との競合性の観点から社会通念に照らして判断する(公益性とか)。
検討順序
①法人税法施行令5条1項の事業に該当する
②収益事業該当性

10月7日の日記

2013年10月7日 日常
刑法演習ノート21
事例研究刑事法
事例で考える会社法
租税法予習
趣旨規範ハンドブック刑法
短答の復習(民法、会社法)とりあえず、1日1回ずつ
刑法短答20問
明日行政法平成24年と刑法平成20年の過去問
会社法リーガルクエスト組織再編

第1甲の罪責
  1 住居侵入罪(刑法(以下、省略する)130条前段)の成否
  甲は窃盗の目的で「正当な理由なく」(※1)、「住居」であるAの自宅に無施錠のトイレの窓からAの意思によらないで「侵入」している。
  よって、甲には、住居侵入罪(130条前段)が成立する。
  2 窃盗罪(235条)の成否
   甲は、「他人の財物」であるAの現金300万円をジャンパーのポケットに入れて、ABの専有の意思によらないで、占有移転をし「窃取」している。
   よって、甲は現金300万円の窃盗罪(235条)が成立する。
  3 強盗罪致死(240条後段、236条1項)の成否
  (1) 甲はBに対して現金2万円を奪っている。その後、Bは傷害を負い、死亡している。そのため、甲にBに対する現金2万円の強盗致死罪(240条後段)が成立しないか。強盗致死罪が成立するには、強盗が、人を死亡させることが必要である。
 (2)まず、「強盗」とは強盗の実行の着手をした者をいう。以下、強盗罪(236条)の検討をする。
   まず、「暴行・脅迫」が認めれるか検討する。
   「暴行・脅迫」とは、財物奪取に向けられたものであり、相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならない。
   甲は、机の引き出しにあった現金300万円を窃取した後、さらに別の金品を求めている。財物奪取を目的としている上で、甲はBに対して、胸ぐらをつかみカッターナイフを左頬につきつけている。これは、頸部という切りつけられれば致命傷に係わる部分に近い場所であり生命に重大な危険が差し迫っている。Bは70歳で高齢であり、甲は30歳と年の差が著しくことなり、一般的に考えれば身体能力の差は甲の方が優位に立っている。人通りの少ない住宅街で少なくとも10時半までは人が来ないためBは助けを求めることができない状況にある。そして、「静かにしろ、ころすぞ」と害悪の告知をしている。
 このことからすれば、Bは反抗を抑圧されてる至っているといえ、「暴行・脅迫」は認められる。
 次に、「他人の財物」である現金2万円を、Bはやむを得ず甲に渡しているため「強取」しているといえる。
 続いて、Bは勝手に転んで、手首に傷害を負っているから、「人を負傷させた」といえるか。
 強盗の機会になされたものか問題になる。「人の負傷させた」といえるには、240条が刑事学上強盗の機会に死傷結果が生じることが多いため設けられた政策的規定であるから、強盗の機会に行われる必要がある。
 甲がリビングボードの方に行き物色を始めた時に隙をついて、Bは逃げ出している。Bは、甲が追ってきたので、玄関の外まで逃げてそこで転んでいる。そのため、強盗の際に密接に関連する行為でBは手首に傷害を負っている。
 よって、強盗の機会にBは手首に傷害をおっているとして「人を負傷させた」といえる。
 そして、Bはブロック塀の角に後頭部を強打して際に脳内出血を起こしたことを原因として死亡しており、Bは手首に傷害を負ったことから、死亡したわけではないから、「死亡」したとはいえない。
 最後に、強盗の故意(236条、38条1項)があり、甲は生活費につかうので不法領得の意思も認められる。
 したがって、甲にはBに対する現金2万円の強盗致傷罪(240条前段)が成立する。
第2 乙の罪責
  1 住居侵入罪(130条前段)及び窃盗罪(235条)の共謀共同正犯(60条)の成否
  乙には甲と住居侵入罪(130条前段)及び窃盗罪(235条)の共謀共同正犯(60条)が成立しないか。乙は実行行為を分担していないため、共謀共同正犯と幇助犯との区別が問題になる。
  共謀共同正犯とは、2以上の者が、特定の犯罪を行うために、共同意思の下に一体となって互いに他人の行動を利用して各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行にしたことが認めなければならない。
 そして、幇助犯との区別とは、正犯意思によって判断し具体的には①役割の重大性②利益の享受で判断する。
 乙には、Aの会社に勤務していた時の待遇に不満を持っており、生活費にも困窮している異常体である。300万円の内100万円を乙は甲からもらえるため、Aから金を盗めば金に困らないから、利益を享受する意思が強く認められる(※2)。
 乙は、甲に住所を教えており、Aの自宅の間取図、人の出入りについて説明しており、乙はAの自宅に甲とともに下見をして情報提供をしている。甲はそもそもAの住所すらしらないことからすれば、およそ、乙の情報提供しかなければ窃盗を達成できないため乙は重大な役割している。
 よって、乙には自己の犯罪として住居侵入罪及び窃盗罪を行う意思があり正犯意思がある。
 次に、乙は甲から、「俺が入るから、・・・300万円を手に入れることができたら、お前に100万円をやる」といわれ、乙は、「分かった・・・」といっている。そのため、Aの自宅の住居侵入罪と現金300万円の窃盗罪を行う合意がある。そして、乙は甲に「ほかの場所にも金目の物があるはずだ」と説明している。そのため、甲と乙には現金300万円以外にも金品を奪う意思疎通があるといえる。
 よって、甲と乙には、Aの自宅の住居侵入罪と現金300万円とそれ以外の金品に対する窃盗罪を共同意思の下実行に移すことを内容とする謀議をしている。
 続いて、甲はAの自宅に侵入(130条前段)し、現金300万円を窃取(235条)している。また、それ以外の金品として現金2万円を強取(236条)している。
 乙には、住居侵入罪及び、窃盗罪の故意しかないため現金302万円の限度で窃盗罪の共謀共同正犯が成立する(130条前段、235条、60条)。
 2 強盗致死罪(240条後段)の成否
  乙はBに対して暴行を行いBはブロック塀の角に後頭部を強打して傷害をおって死亡している。そのため、乙にはBに対する強盗致死罪が成立しないか。
  まず、「強盗」とが強盗の実行の着手をした者をいう。事後強盗が成立するか検討する。
  前述のとおり、甲と乙には現金302万円共謀共同正犯が成立するため、乙は「窃盗」といえる。
  近所の人がBの声を聞きつけて警察に通報すると考え、Bを黙らせるために乙はBの口を塞いだ上、顔面を力いっぱい殴打し背部腹部を数回蹴っている。そのため、乙に「逮捕を免れる」ためBの反抗を抑圧する程度の「暴行・脅迫」をあたえている。
  よって、乙には事後強盗罪(238条)が成立し「強盗」であることは認められる。
  そして、Bの死亡して原因は、乙が逮捕を免れるための暴行脅迫としてBを殴打してBが衝撃で倒れてブロック塀の角に後頭部を強打し脳内出血をしていることにある。そのため、強盗である乙がBを死亡させたといえる。
 よって、乙にはBに対する強盗致死罪(240条後段)が成立する。
第3 罪数
 甲乙には①住居侵入罪及び、②現金302万円の窃盗罪の共謀共同正犯(130条前段、235条、60条)が成立する。単独で③甲には現金2万円の強盗致傷罪(240条前段)と④乙には強盗致死罪(240条後段)が成立する。そして、①と②③④は目的と手段の関係にあるから、牽連犯になる。②は③とAの自宅にある金品であり同一客体であるといえ、Aの自宅であるから同一機会の犯行といえ、②は③に吸収される関係にある。




※1「正当な理由なく」は、侵害態様もしくは目的又はその両方の指摘で足りる
※2《shor》ver 財産権の本質に照らせば、利益100万円を得ていることは自己の犯罪として実行する意思がある
H20は法益侵害行為が多いため、表を作って検討すると見落としが少なくなる。

10月3日の日記

2013年10月3日 日常
刑法短答20問

刑法趣旨規範ハンドブック20頁
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刑法演習ノートの復習
事例で考える会社法22を解く
第1 設問(1)
 1 Pは甲社と乙社の吸収分割について存続会社である乙社(834条7号)対して吸収分割無効確認の訴えを提起し吸収分割の無効主張することが考えられる。
 まず、吸収合併の提訴権者には、合併について承認をしなかった債権者(828条2項9号)が含まれる。
 本件では、Pはα年6月に地下水が汚染されて損害が生じているとして甲社に対して不法行為による損害賠償請求権を取得している。そのため、Pは甲社との関係では債権者である。もっとも、甲社は地下水の汚染されていることを知らず、また、客観的にも地下水の汚染が疑われる事情はなかった。そのため、Pに不法行為による損害が生じていることについて甲社には認識はなく、Pは知れている債権者ではない。とすれば、789条2項の格別の催告は不要であり、Pは債権者手続きにおいて異議を述べておらず、吸収合併を承認したものとみなされる(789条4項、799条4項)。
 よって、合併について承認をしなかった債権者(828条2項9号)にはPは含まれず、吸収合併の提訴権者ではない。
 したがって、Pは甲社と乙社の吸収分割について存続会社である乙社(834条7号)対して吸収分割無効確認の訴えを提起し吸収分割の無効主張することができない
 2 Pは甲社に対して759条2項により不法行為に基づく損害賠償債務の履行を請求することが考えられる。
 かかる、履行請求をするためには、789条2項の催告を受けなかったことが必要である。
  789条2項の個別催告は、文言から、「知れている」不法行為債権者に対してのみすることで足りる。
 本件では、甲社は地下水の汚染されていることを知らず、また、客観的にも地下水の汚染が疑われる事情はなかった。そのため、Pに不法行為による損害が生じていることについて甲社には認識はなく、Pは知れている債権者ではない。
 よって、Pは甲社にとって知れている債権者ではなく、そもそも催告をする必要はない債権者であるから、789条2項の催告を受けなかったことの要件の前提を欠くといえる。
 したがって、Pは甲社に対して759条2項により不法行為に基づく損害賠償債務の履行を請求することはできない。
 もっとも、損害または加害者たる債務者をしらない不法行為債権者との関係では、そもそも免責的債務引受が生じないのであるから、これらの不法行為債権者は分割後は、会社分割の両当事会社に損害賠償を請求することができる。
第2 設問(2)
 1 まず、Qは吸収分割無効の訴えを提起することが考えられるが、分割会社に残存する債権者債権者異議手続による保護の対象外であり(789条1項2号)、提訴権者にはならないた、Qは吸収分割無効の訴えを提起できない。
2 Qは乙社に対して吸収分割を対象として詐害行為取消権(民法424条)を行使することが考えられる。
 まず、財産権を目的とする法律行為であるか
 確かに、組織再編上の行為であるが、吸収分割が事業に関して有する権利の義務の全部または一部を承継させること法律行為であるとすると財産権を目的とする法律光であるといえる。
 次に、Qは本件の分割契約前から、甲社に対して4000万円の貸金債権を有するといえ、詐害行為前に被保全債権が存在している。
 では、詐害性が認められるか。詐害性は詐害行為と詐害意思を相対的に判断する。
 会社分割後の甲会社の資産総額(帳簿価額)は3000万円、負債総額1億円である、会社分割後の甲社はのれん代を計上し、資産の評価換えをしても、実質的な債務超過状態であったといえ、甲社は債権者であるQを害する認識していたといえ詐害意思が認められ、甲社は会社分割後は実質的債務超過をしていることになるから、債務者の責任財産を減少させる法律行為である詐害行為が認められる。
 よって、詐害性が認められる。また、乙社は分割契約の当時会社であるから、悪意である。
 したがって、Qは吸収分割を対象として詐害行為取消権を行使することができる。
 もっとも、個々の財産は移転した事業に組み込まれている可能性が高いので現物返還を求めると、事業運営に支障が生じる可能性があるから、価格賠償によることになる。
 続いて、乙社が甲社の商号を実質的に引き継いでいると評価される場合には、Qは会社法22条1項の類推適用により、乙社に債務の弁済を請求することができる。
 吸収分割は事業譲渡ではないが、会社法22条1項の趣旨は、事業主の交代を知らないか、あるいは知っていた時でも称号の続用がある場合、営業に含まれる自己の債務も引き受けられたものと考える債権者の信頼を保護するものである。
 とすれば、吸収分割も事業譲渡もいずれも法律行為による事業の移転であり同条の趣旨が妥当するため、会社法22条1項を類推適用すべきである。
 甲社はもともと鞄メーカーであり、鞄部門を有していた。そして、まだ鞄部門は再建の余地があるから吸収分割により乙社に鞄部門を移転している。とすれば、乙社は実質的に甲社の商号を実質的に引き継いでいるといえ、Qは会社法22条1項の類推適用により、乙社に債務の弁済を請求することができる。
 最後に、Qとしては甲社がQからの債務の履行を免れるために吸収分割を行ったとして乙社に対して法人格否認の法理により甲社と乙社を同一視して、Qは4000万円の請求をすることができる。
 法人格は団体の法律関係を単純化するための法技術であり、乱用してる場合には、権利濫用(民法1条3項)により法人格を否定する。
 法人格を否定するためには、支配要件と目的要件を満たす必要がある。
 本件では、別法人化には、鞄部門はまだ再建の余地があるため自力で立て直すことを目的とするために旧分割をしているのであり、違法な目的は存在しない。そのた、目的要件を満たさない。
 よって、乙社の法人格は否定されず、乙者と甲社は同一視されず、Qは4000万円を請求できない。
第1 設問1
  1 法的手段
   ①勧告の取消訴訟(行政事件訴訟(以下、省略する)3条2項)と処分の続行による執行停止(25条2項)②勧告に従う義務のないことの地位を確認する実質的当事者訴訟(4条後段)③公表の差止め訴訟(3条7項、37条の4)と仮の差止め訴訟(37条の5第2項)が法的手段として考えられる。
  2 まず①の法的手段を検討する。
    勧告の取消訴訟が認められるには勧告が「処分」(3条2項)であることが必要である。
    「処分」とは公権力主体たる国または地方公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、または、その範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
 勧告は都道府県知事が行うものである(法103条1項)。そのため、公権力主体たる地方公共団体が行う行為であるといえる。
 法97条2項3項の基準に適合しない場合には勧告できる(法103条1項)。
 勧告は行政指導であるため、強制力がないため国民の義務を形成するものでない。もっとも、勧告に従わないときは、公表(103条2項)、業務停止命令(103条3項)、開設許可取り消し(104条1項柱書)が行われる。これらは、勧告から期限が定められて行われるものではなく勧告から特に障害なく行われるものであるから、勧告の従わないと公表、業務停止命令、開設許可取り消しという不利益を被る。
とすれば、勧告に従う義務を課されているといえ直接国民の義務を形成している。
 よって、勧告が「処分」(3条2項)であることが認められる。そして、その他の取消訴訟の要件も満たす。
 では、処分の続行の執行停止は認められるか。
 「重大な損害」があるか。重大な損害が生ずるかは否かを判断するにあたっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容性質をも勘案するものとする。
 勧告書に書かれていたように公表がされ、市民からの信頼が失われる。信頼という社会的信用は一度失われると回復の困難の程度が大きい。そして、多くの利用者が本件施設を離れてしまうと経営難になるから、損害の性質及び程度は大きい。
 よって、公表には重大な損害が認められる。
 公表は勧告から期限が定められて行われるものではなく勧告から特に障害なく行われるものであるから、勧告が行われた今の時点で執行停止をしなければ不利益を被るといえ、「緊急の必要」がある。そして、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」(25条4項)はなく、「本案について理由がないとみえる」(25条4項)ときでない。
 よって、処分の続行の執行停止は認められ、公表の阻止を行うことができる。
3 次に、②の法的手段を検討する
  勧告について処分性が認められる以上、実質的当事者訴訟を提起することはできないため、勧告に従う義務のないことを確認する実質的当事者を提起することはできない。
4 最後に③の法的手段を検討する。
  差止め訴訟が認めれるには、公表が処分であることが必要である。
  公表はB県知事がする(法103条2項)ものであり、公権力主体が行う行為である。公表は、情報提供行為であり事実行為である。もっとも、勧告に従わないと公表を受けることから、制裁的公表的性格を有するといえる。公表され内容に従う義務を課されるから、国民の義務を形成させている。
 よって、公表は「処分」といえる。
 もっとも、勧告に処分があると認められ、執行停止が認められる以上、「その損害を避けるため他に適用な方法がある」といえる。
 よって、差止め訴訟を行うことはできない。
5 各制度の比較
 実質的当事者は認めらない。差止め訴訟は認められず、また、差止めを認められたとしても、仮の差止めの要件は執行停止よりも厳格である。そのため、勧告の取消訴訟と処分の続行の執行停止が最も適切な訴訟手段である。
第2 設問2
  1 調査
(1) 実体違法
   知事は当然に実地指導を先行させる義務を負わない。しかし、他の施設では行政指導として実施指導が行われている。それにもかかわらず、本件施設に対していきなり罰則を前提とした間接強制調査を実地しており比例原則及び平等原則違反がある
(2) 手続違法
   B県職員が身分証を提示しなかった点は法102条が準用する法24条3項に違反し違法である。
  B県職員が帳簿書類等をダンボール箱に詰めて持ち帰った行為は「押収」にあたる。。これは法100条1項に規定されていないことを行うものであって違法である。
2 調査の違法が勧告に及ぼす影響
 調査に違法な点があっても、調査によって得られた結果自体に誤りがあるとは限られない。当然に勧告が違法となるわけではない。
 しかし、適正手続きの観点から、後行行為と密接に関連する先行行為の重大な瑕疵は、後行行為の違法性を基礎付ける。
 本件調査は、勧告の前提にあり、これに密接関連する先行行為である。
 そして、身分証の不呈示は、調査を受けた者が責任の所在を把握することができず、不服申し立ての機会を失うため、重大な違法であるといえる。
 よって、本件調査の違法は、後行行為たる韓国自体を違法とする影響を及ぼす。
3 勧告の違法
(1)実体違法
ア 「専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する者」(法97条2項、省令2条4項)を計算にあたって考慮に入れる必要がある(省令2条3項)。週5日働いている看護師2名、介護職員5名は週5日も継続して働いているため、「専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する者」といえる。しかし、勧告は前提となる事実について、一部の出勤簿を対象としていない上、人員の把握を誤ったものである。
 よって、事実誤認の違法がある。
イ 省令13条4項は「緊急やむを得ない場合」は身体拘束をすることができる。
 ベッドからの転倒防止を第1に考え、5時間に限って入所者家族の同意に下に1名のベッドに柵を設置している。これは入所者の生命身体を保護するために行われたものであり、緊急やむを得ないものであるといる。 
 そのため、省令13条4項の身体拘束には該当せず、事実誤認の違法がある。
(2)手続違法
ア 勧告は処分性が肯定されるものであり、勧告はB県知事が行うものであり不利益処分(行政手続法(以下、行手法と省略する)3条3項)となる。そのため、理由の提示(行手法14条1項)が必要である。理由の提示の記載は、理由の提示の趣旨が行政庁の判断の恣意を抑制し、不服申し立ての便宜を図ることにあるから、いかなる事実関係に基づきいなかる法規を適用したかをその記載自体から了知しうるものであることが必要である。
 勧告書には勧告の基礎となる事実は示されていなかったのあるから、いかなる事実関係に基づき勧告がなされてたかの記載自体から了知することができない。
 よって、理由提示の記載が不十分であり、行手法14条1項に反する。
イ 勧告は不利益処分であるため弁明の機会を付与する必要がある(行手法13条1項2号)調査以来、B県からは何の連絡もなく問い合わせに一切応じてこなかった状況の中で、いきなり勧告書が交付されている。そのため弁明の機会が付与されていないため、行手法13条1項2号違反がある。
以上
第1 ①について
 1 本件自己株式取得の効力
 (1) 本件自己株式取得は無効となるか。自己株式の取得が無効となるためには、軽微な違法まで無効とすると取引の安全を害するために無効原因は重大な違法に限られる。
 (2) まず、甲社は特定の株主であるBから自己株式を取得しようとしている。甲社は公開会社であるから相続人であるBには162条は適用されない(162条但書1号)。そのため、定時株主総会においてB以外の株主も株式の買取請求を甲社に対してできる旨を通知しなければならない(160条2項、3項)。それにもかかわらず、甲社はB以外の甲社株主に甲社株主に対し第1号議案の「取得する相手方」の株主に自己をも加えたもの株主総会の議案とすることを請求できることを通知していない。
 そのため、甲社は本件自己株式取得において160条3項に違反する。
  さらに、「特定の株主」(160条1項)であるBは議決権行使をすることができない(160条4項)。それにかかわらず、第1号議案につきBが議決権を行使しているのは、160条4項違反である。
 160条3項は株主平等原則(109条1項)を反映し株主間の公平を図るための制度であるから、160条3項違反は重大な違反といえる。また、160条4項も会社の自己株式の取得につき株主間の公平を図るために議決権行使を制限するのであるから重大な違反であるといえる。
 よって、本件自己株式取得は無効であるといえる。
 (3) 次に、本件自己株取得(157条1項)は財源規制(161条1項3号)に反し無効でならないか。資料②からすれば、5億円を上限として自己株式を取得することができる。
 そして、462条1項の規定する責任額が効力発生日の分配可能額を超過する額でなく譲渡人が交付を受けた金銭等の帳簿価格全額であるのは取得が無効であることを前提とした処理である。自己株式取得(157条1項)は財源規制(161条1項3号)に反し無効である。
 2 甲社とBとの法律関係
 (1)まず、本件自己株式取得について甲社から財産規制に反して金銭の交付を受けたBは、交付された金銭である25億円を甲社に対して支払う義務を負う(462条1項柱書き)
 (2)次に、甲社はBに対して本件自己株式取得は無効であり法律上の原因がないから不当利得返還請求(民法703条1項)ができるか問題になる。
 Bは同時履行の抗弁権(民法533条)があるため法律上の原因があるといえそうであるが、462条1項が同時履行の抗弁権を排除していると解することができるため、法律上の原因がないといえる。よって、Bは甲社に仮に当該株式が返還されたら、その時点でBが取得できた価値を返還する必要があることから、返還時の株価である800円に基づき20億円の返還債務を負う。
第2 ②について
 1 本件自己株式処分は無効であるか。
   本件自己株式処分が無効であるためには、明文はないが取引の安全の観点から重大な違反に限るべきである。
 2 定時株主総会に取消事由(834条)があり、無効ではないか。
 まず、834条1項1号の取消事由に該当しないか。
 定時株主総会において株主Dは質問をしており、Cには説明義務(314条)が生じる。それにもかかわらず、Cは「企業秘密」であると答え特に免責事由(314条但書、会社法施行規則71条)に該当しないのに説明を拒絶している。
 そのため、314条違反という決議の方法の法令違反がある。
 よって、、834条1項1号の取消事由に該当する。
 次に、834条1項3号の取消事由に該当しないか。 
 「特別の利害関係を有する者」(834条1項3号)とは、議案の成立について多数の株主と共通しない特殊な利益を有し、又は、不利益を免れる者をいう。
  Bは本件自己株式取得について多数の株主が反対していることから、多数の株主と利益が共通せず、本件自己株式取得につき市場価格25%を上回る価格で株式の買取を受けられるという特殊な利益をえている。
 よって、Bは「特別な利害関係を有する者」といえる。
 そして、Bが賛成したためかろうじて賛成が得られたのであるから、Bが賛成しなかったら賛成は得られなかったし、議案についても特別の利害を有する者であるB以外は株式を買取もされないのであるから著しく不利益を受けるといえ「議決権を行使したことによって、著しく不当な決議」がなされたといえる。
 よって、834条1項3号の取消事由に該当する。
 したがって、定時株主総会に取消事由(831条1項1号、3号)がある。
 では、定時株主総会に取消事由があることが自己株式処分の無効事由になるか。 
 定時株主総会は会社の内部的な意思決定であり、内部的な意思決定に瑕疵があっても外部からは認識することが困難であるため、取引の安全が保護する必要が有り、軽微な違法にとどまる。よって、定時株主総会について取消事由があることは重大な違法といえず、自己株式処分の無効事由にならない。
 3 本件自己株式取得が無効であることは本件自己株式処分無効原因にならないか。
 本件自己株式取得は財源規制に違反するものであるが、財源規制違反は会社債権者を害するものであり、会社債権者保護は自己株式を無効とすることで達成できる。そして、本件自己株式処分を無効とすると乙者が売却した50株にも影響が生じ取引の安全を害する。そのため、重大な違法にはあたらず、本件自己株式取得が無効であることは本件自己株式処分無効原因にならない。
 4本件自己株式処分は無効にならず、有効となる。
第3 ③について
 1本件自己株式取得は分配可能額を超えるため、Cは業務執行者としてBが甲社から交付を受けた25億円ついて甲社に対して支払義務(462条1項柱書き)を負いそうである。
 分配可能額を下回ったのは西日本事業部で架空売上げがあったためで、この手口は会計監査人ですら見抜けない巧妙なものであった。そして、甲社の内部統制システムには問題はなく、C自身も架空売上げを見抜けなかったことに過失はなかったのであるから、Cは「職務を行うについて注意を怠らなかった」といえる。
 したがって、Cは「職務を行うについて注意を怠らなかった」といえる。
 したがって、Cは免責され支払い義務を負わない。
2 Cは、平成23年3月31日時点で30億円の欠損が生じていることから、欠損責任を填補責任(465条1項3号)を負いそうである。。
 架空売上に基づいて作成された貸借対照表である資料②から分配可能額は35億円であり、25億円の自己株式取得をしても欠損が期末に生じるとは予想し難いため、Cは「注意を怠ならなかった」(465条1項但書)といえる。
 よって、Cは免責され填補責任を負わない。
3 本件自己株式取得につき甲社につき5億円の損害が生じている。Cには161条2項3項違反と、161条4項違反の者であるBに議決権を行使させた議事運営(315条)違反という法定遵守義務違反が有り任務懈怠(423条1項)が認められる。
 そして、Cの任務懈怠と甲社の損害には因果関係があるため、Cは甲社に対して損害賠償責任を負う(423条1項)。
4 本件自己株式処分は株式の価格を時価から20%割り引いているため、甲社には、4億円のうべかりし利益があるといえ、甲社に4億円の損害が生じている。
 Cには、第2号議案は乙社の賛成により「かろうじて」可決されており、Cが説明義務を履行していれば、第2号議案が可決されなかった可能性があり、説明義務違反(314条)という法令遵守義務違反が有り任務懈怠が認められる。
 そして、損害と任務懈怠との間に因果関係が認められる。
 よって、甲社に対してCは4億円に損害賠償責任を負う。


正直解説読んで書き直しました。
本番ではこれは無理。
知識的には自己株式の取得の手続きを補充して、書き方的なものは短く書く方法を少し練習する。
第1 設問4
 1 合併契約の締結や当該合併契約の承認を目的とする株主総会(会社法(以下、省略する)795条1項)を取締役が招集(296条1項)するのを阻止するため、取締役の違法行為の差止め(360条1項)を行うことが考えられる
 2(1) まず、Z社はX社の株式を長年保有していることから、「6ヶ月前から、引き続き株式を保有する株主」にあたる。
  (2)次に、「法令に違反する行為をするおそれ」があるか検討する。
  「法令」とは、会社を名宛人とする法令も含む。なぜなら、会社の業務執行は取締役に依存しており、取締役は会社にとって重要な地位を占めているため、取締役には会社を名宛人とする法令を遵守する義務を負うため、「法令」には会社を名宛人とする法令も含むべきだからである。
 独禁法は名宛人とする法令であるが「法令」に含まれる。取締役は独禁法15条1項1号に違反する合併を行おうとすることは「法令に違反する行為をするおそれ」がある。
  (3)続いて、「回復することができない損害」(360条1項、3項)があるか検討する。
   独禁法違反により、課徴金等の制裁を会社が受けることになり、会社に対する社会的信用を失うことにつながる。これは、金銭によっても回復することができず、「回復することができない損害」(360条1項、3項)があるといえる。
 3 よって、合併契約の締結や当該合併契約の承認を目的とする株主総会(会社法(以下、省略する)795条1項)を取締役が招集(296条1項)するのを阻止するため、取締役の違法行為の差止め(360条1項)を行うことができる。
第2 設問5
 1 ①について
 (1) まず、議決権行使書面を提出して行使された議決権について検討する。賛成と記載された数が5000個である。反対と記載されていた数は2000個である。
   会社法施行規則66条1項2号により賛否の記載がない2万9000個は従前の議決権行使書面に記載された通り、賛成であるとみなされる。
 (2) 次に、Z者に委任状を交付した議決権について検討する。
  反対と委任状に記載された議決権2000個はZ社が反対の意思表示をしたとおり反対となる。
  また、賛否の記載のがない1万個については白紙委任がZ社になされており、Z社は決議について反対の立場であることからすれば、反対の意思が表明されているといえる。そのため、Z社が反対の意思表示をしたとおり反対となる。
 (3) 最後に賛成と委任状に記載された議決権であるが、Z社はこの議決権も含めて反対の議決権行使をしているため、賛成と委任状に記載された議決権の取扱いが問題になる。
 議決権行使は株主の意思を反映させる手段であり、株主の意思が直接に表明されている時点を重視すべきである。
 委任状によってしたZ社の議決権行使は間接的に株主の意思を表明したものにすぎず、直接株主の意思が表明されているのは委任状に記載されたものであるといえる。
 賛成と委任状に記載されている以上、株主の意思は賛成の意思表示であり、これと矛盾するZ社の反対の議決権行使は、無効である。
 よって、賛成と委任状に記載された議決権50個は無効と取り扱われる。
 以上により、賛成の数は4万個であり、反対の数は2万個である
 2 ②について
 (1)議決権行使書面と委任状の両方に賛否を記載しなかったFの議決権はどのように取り扱われるか。議決権行使書面に賛否を記載しなかった場合は賛成になり、委任状に賛否を記載しなかった場合は反対と扱われるため、どちらに取り扱われるか問題になる。
 (2) 議決権行使は株主の意思を反映させる手段であり、株主の意思が直接に表明されている時点を重視すべきである。
 委任状によってしたZ社の議決権行使は間接的に株主の意思を表明するものであり、儀権行使書面は直接に株主の意思を表明するものであるから、議決行使書面の法を優先して取り扱うべきである。
 よって、議決権行使書面が優先されることによりFの議決権100個は賛成と取り扱われることになる。
 以上によれば、賛成は4万個であり、反対が1万9900個である。
第3 設問6
 1 合併の効力が発生する前
 (1)まず、Z社が合併の実現を阻止するためには、株主総会決議取消の訴え(831条)を提起することが考えられる。
  EはZ社の動議や抗議を無視していることから、不当に決議を賛成のものとしようと誘導しているから、「決議の方法」に「著しく不公正」(831条1項1号)なものといえる。 
 よって、Z社が合併の実現を阻止するために、株主総会決議取消の訴え(831条)を提起することができる。
 (2)次に、Z社が合併の実現を阻止するために株主総会無効確認の訴え(831条1項1号)を提起することが考えられる。
 決議の内容は合併が独禁法15条1項1号に違反するものである。本件株主総会は「決議の内容に法令に違反」するといえる。
 よって、Z社が合併の実現を阻止するために株主総会無効確認の訴え(831条1項1号)を提起することができる。
 2 合併の効力が発生した後
 合併の効力が発生した後は、合併無効確認の訴え(828条1項7号)を提起することが考られる。
 合併の無効原因は明文はないが、法的安定性の観点から、軽微な違法を無効とすると法的安定性を害するため、重大な違法に限るべきである。よって、合併の無効原因は重大な違法に限られる。
 まず、合併比率の不公正は無効原因になるか
 合併比率について不公正があっても合併契約については当事者に交渉能力に差があり、比率に不公正が生じるのは当然であるし、株主にとっても株主買取請求権(758条)がある以上不利益といえない。
 よって、合併比率の不公正は重大な違法といえず、無効原因とはいえない。
 次に、合併承認決議の瑕疵は無効原因になるか
 本件合併の承認決議には取消事由、無効事由があり瑕疵がある。合併承認決議は合併をするために不可欠な前提をなすものである。そのため、合併に重大な違法があるといえる。
 よって、合併に無効原因があるといえる。
 

設問5と設問6が連動して、決議の数で無効原因が決まったり、決議日と効力発生日の関係とか書いていない・・・

解説読んで勉強しよう

9月18日の日記

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ロー演行政法第Ⅱ部①
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