平成21年 行政法
2013年10月12日 新司過去問《行政法》第1 設問1
1 法的手段
Fらは、本件建築確認の建築を阻止するために、本件確認に対して、取消訴訟(行政事件訴訟法(以下省略する)3条2項)を提起し、本件確認処分の執行停止を裁判所に求める(25条2項)
2(1)本件では、本件確認処分には処分(3条2項)、出訴期間(14上1項)、不服申し立て前置、被告適格(11条1項1号)をB県は有することは問題なく認められる。Fらが取消訴訟を提起するためには原告適格(9条1項)が認められることが必要である。
(2)原告適格が認められるには、Fらは「法律上の利益を有する者」(9条1項)があることをいい、処分の相手方以外の者の法律上保護された利益を判断する際には9条2項の事情を考慮をする。
3では、Fの原告適格を検討する。
建築基準法(以下、単に「法」と省略する)1条は、生命身体財産の保護を目的としている、法21条は一定の建築物につき防火に必要な構造を求めている。
これは、建築物に火災が起きた場合に、ほかの建物への延焼を防ぎ、周辺の建築物に居住する者や建築物を保護する趣旨であるといえる。
建築基準関係規定(法6条1項)にB県建築安全条例(以下、「安全条例」と省略する)は含まれるが、本件紛争予防条例は含まれない。
本件紛争予防条例の目的は良好な近隣関係の保持であり、法は建築確認にあたって建築物に一定の構造・配置を求めて事前に紛争を予防しようとする側面があり、これは良好な近隣関係の保持あるといえる。そのため、本件紛争予防条例と法は目的を共通するといえ、本件紛争条例は法の関係法令といえる。
本件紛争予防条例2条4号イは近隣住民として、中高層建築物の境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に権利を有する者及び当該範囲内に居住する者と定義している。この範囲の者が法によって保護されるといえる。
以上からすれば、近隣住民(本件紛争予防条例2条4号イ)の建築物に居住する者の生命身体や建築物の財産権を保護する趣旨であるといえる。
本件では、本件建築物の高さは30メートルであるから、近隣住民は本件建築物の境界線から60メートルの水平距離の範囲内にある土地又は建築物に権利を有するか、居住する者である。
Fは本件土地から、10メートルの地点にあるマンションに居住している。そのためFは近隣住民として建築物に居住する者であり生命身体を保護される利益が認められる。。
よって、Fには原告適格が認められる。
次にGの原告適格を検討する。
Gは本件土地から10メートルの地点にあるマンションを所有しているから、Gは近隣住民である。そして、近隣住民としてGのマンションの所有権という財産権は法律上保護される利益が認められる。
よって、Gには原告適格が認められる。HとIは本件土地500メートル離れたマンションに住んでいるため、原告適格は認められない。もっとも、他の法律場保護された利益から、認められないか検討する。
続いて、Hについて検討する。
法43条2項から委任されている建築基準関係規定である安全条例27条4号は交通の危険を判断予測したり、回避する能力を十分に行うことができない施設利用者を保護する趣旨である。
そのため、安全条例27条4号に該当する施設を利用する者を法律上保護している。
安全条例27条4号は交通の危険を判断予測したり、回避する能力を十分に行うことができない交通弱者である施設利用者を保護する趣旨であるから、「これに類するもの」とは、 交通弱者が多く利用する施設のことをいう。
本件児童室は、本件図書館内にある1コーナーであるが、本件児童室は児童の利用しやすい設備がととのっており、児童室専用出入り口も用意されていることから、特別に児童の利用が多い場所であるといえ、交通弱者である児童が多く利用する施設である。よって、本件児童室は「これに類する」といえる。
Hは小学2年生で本件児童室に毎週通っており交通弱者として法律上保護される利益を有している。
よって、Hは原告適格が認められる。
最後にIについて検討する。
IはHの父親であり、交通弱者でないから、法律上保護されず原告適格は認められない。
以上から、Iには原告適格は認められず、FGHには原告適格は認められて取消訴訟が提起できる。
4執行停止
訴えの利益(9条1項括弧書)とは本件建築確認を取り消す必要性のこというが、建築確認は適法に建築ができることができる権利を付与する行為であり、建築工事が完了してしまえば建築確認を取り消す必要性はなくなるため、訴えの利益は消滅する。そのため、建築確認を阻止するために、執行停止の申し立てをする。
まず、FGHに重大な損害があるか。重大な損害について25条3項の規定に従い判断する。
本件では、本件建築物がいったい建築されれば、火災が起こった場合や、本件建築物に居住する者が利用する車により交通量がふえ交通事故が発生する場合があり、これらは生命身体とい一度失えば回復することがでいないほどのうかけがえのない法益に関わるものである。そのため、重大な損害があるといえる。
次に緊急の必要があるか検討する
一度着工すれば本案継続中に建物が完成する可能性が十分にあり、訴えの利益が消滅する可能性があるため、建築物が完成する前に工事の続行の停止を中止させる緊急の必要はある。
よって、執行停止(25条2項)は認められる。
第2設問2
1実体法違反
(1)安全条例
43条2項を受けた安全条例4条1項、2項は、接道規制として延べ面積300平方メートル、高さ15メートル以上の建築物は幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならない。本件マンションは、延べ面積が2万1643平方メートルと、300平方メートルをはるかに超え、高さも30メートルと、15メートルを大きく超えている。そのため、法43条2項を受けた安全条例4条1項、2項の要件を満たすから、本件土地は幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならない。
接道規制(法43条2項、安全条例4条1項、2項)の趣旨は、一般通行の他避難、消防等の上で支障のないようにすることにあるから、「幅員6メートルの道路」とは、車両が何の障害もなく通行できる幅が6メートルあるものを指すと解すべきである。
形式的には本件道路は幅員6メートルがあり「幅員6メートルの道路」といえる。しかし、本件道路は、L神社によって遮断機が設置されており、遮断機が下りた状態では車の通行が不可能であり、遮断機を上げた状態でも実際に車が通行できる道路幅は3メートル弱しかないことから、実質的にみれば、幅員6メートルの道路に接していないこととなる。これは、接道義務の趣旨にはんするといえ、本件道路は「幅員6メートルの道路」にはあたらない。
よって、本件道路は、接道規制に反する違法である。
(2)安全条例27条4号違反
本件児童室は、「これに類するもの」に該当する。この場合、本件児童室の出入り口から20メートル以内の道路に面して、自動車の出入り口を設けられていない(安全条例27条)が、本件では、児童室専用出入り口から10メートルのところに本件建築物の地下駐車場出入り口が設けられている。したがって、安全条例27条に反するから違法である。
2手続法違反
(1)説明会
建築主は建設計画の内容について説明等によて付近住民に説明しなければならない(本件紛争予防条例6条1項)。
Aの開催した説明会は、情報の開示が不十分で、住民が質問の機会を与えず、一方的に説明会を打ち切るなど、住民に対する説明という観点からは瑕疵があった。
しかしながら、説明会の瑕疵は本件確認の違法事由とはならない。なぜなら、計画が建築基準関係規定に適合するときには、必ず建築確認をしなければならない(法6条4項)。
よって、この点の違法は認められない。
(2)公聴会
行政手続法10条は、公聴会を開催する努力義務が課されている。
公聴会の必要性を判断するのは行政庁であり、また、公聴会の開催は努力義務である。そして、近隣関係住民の意見は、本件土地の周辺住民で構成するD地域の生活環境をも守る会の申し入れ書を受理することで意見聴取はされている。
したがって、公聴会の開催義務まではなく努力義務が課されるのみであるから、公聴会を開催しなくても行政手続法10条違反にはならないため違法ではない。
3Fの主張
原告は「自己の法律上の利益」に関係ない違法を主張することはできない(10条1項)。「自己の法律上の利益」とは、法律上の利益とは9条1項の法律上の利益は訴訟要件の問題であり、10条1項が本案上の問題であることからすれば、9条1項の法律上の利益と同義ではない。
したがって、「自己の法律上の利益」とは、原告の利益に関係のない違法に限って主張を禁じている。
Fは交通弱者ではないから、安全条例27条4号が保護する利益に関係なく、Fの利益に関係ないといえる。よって、Fは「自己の法律上の利益」に関係ないから安全条例27条4号の違法を主張できない。
本件紛争予防条例違反はFは近隣住民に該当するため、説明会の開催により建築物の工事の内容を把握する立場にありFの利益に関係があるといえる。よって、本件紛争予防条例違反は、Fの「自己の法律上の利益」に関係ある違法として主張することができる。
Fは本件建築物から、10メートル以内に居住する地点にあるマンションの一室に居住ている者であるから、防災上の観点からFの利益に関係があると言える。よって、Fは「自己の法律上の利益」に関係あるから接道義務違反は主張することができる。
1 法的手段
Fらは、本件建築確認の建築を阻止するために、本件確認に対して、取消訴訟(行政事件訴訟法(以下省略する)3条2項)を提起し、本件確認処分の執行停止を裁判所に求める(25条2項)
2(1)本件では、本件確認処分には処分(3条2項)、出訴期間(14上1項)、不服申し立て前置、被告適格(11条1項1号)をB県は有することは問題なく認められる。Fらが取消訴訟を提起するためには原告適格(9条1項)が認められることが必要である。
(2)原告適格が認められるには、Fらは「法律上の利益を有する者」(9条1項)があることをいい、処分の相手方以外の者の法律上保護された利益を判断する際には9条2項の事情を考慮をする。
3では、Fの原告適格を検討する。
建築基準法(以下、単に「法」と省略する)1条は、生命身体財産の保護を目的としている、法21条は一定の建築物につき防火に必要な構造を求めている。
これは、建築物に火災が起きた場合に、ほかの建物への延焼を防ぎ、周辺の建築物に居住する者や建築物を保護する趣旨であるといえる。
建築基準関係規定(法6条1項)にB県建築安全条例(以下、「安全条例」と省略する)は含まれるが、本件紛争予防条例は含まれない。
本件紛争予防条例の目的は良好な近隣関係の保持であり、法は建築確認にあたって建築物に一定の構造・配置を求めて事前に紛争を予防しようとする側面があり、これは良好な近隣関係の保持あるといえる。そのため、本件紛争予防条例と法は目的を共通するといえ、本件紛争条例は法の関係法令といえる。
本件紛争予防条例2条4号イは近隣住民として、中高層建築物の境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に権利を有する者及び当該範囲内に居住する者と定義している。この範囲の者が法によって保護されるといえる。
以上からすれば、近隣住民(本件紛争予防条例2条4号イ)の建築物に居住する者の生命身体や建築物の財産権を保護する趣旨であるといえる。
本件では、本件建築物の高さは30メートルであるから、近隣住民は本件建築物の境界線から60メートルの水平距離の範囲内にある土地又は建築物に権利を有するか、居住する者である。
Fは本件土地から、10メートルの地点にあるマンションに居住している。そのためFは近隣住民として建築物に居住する者であり生命身体を保護される利益が認められる。。
よって、Fには原告適格が認められる。
次にGの原告適格を検討する。
Gは本件土地から10メートルの地点にあるマンションを所有しているから、Gは近隣住民である。そして、近隣住民としてGのマンションの所有権という財産権は法律上保護される利益が認められる。
よって、Gには原告適格が認められる。HとIは本件土地500メートル離れたマンションに住んでいるため、原告適格は認められない。もっとも、他の法律場保護された利益から、認められないか検討する。
続いて、Hについて検討する。
法43条2項から委任されている建築基準関係規定である安全条例27条4号は交通の危険を判断予測したり、回避する能力を十分に行うことができない施設利用者を保護する趣旨である。
そのため、安全条例27条4号に該当する施設を利用する者を法律上保護している。
安全条例27条4号は交通の危険を判断予測したり、回避する能力を十分に行うことができない交通弱者である施設利用者を保護する趣旨であるから、「これに類するもの」とは、 交通弱者が多く利用する施設のことをいう。
本件児童室は、本件図書館内にある1コーナーであるが、本件児童室は児童の利用しやすい設備がととのっており、児童室専用出入り口も用意されていることから、特別に児童の利用が多い場所であるといえ、交通弱者である児童が多く利用する施設である。よって、本件児童室は「これに類する」といえる。
Hは小学2年生で本件児童室に毎週通っており交通弱者として法律上保護される利益を有している。
よって、Hは原告適格が認められる。
最後にIについて検討する。
IはHの父親であり、交通弱者でないから、法律上保護されず原告適格は認められない。
以上から、Iには原告適格は認められず、FGHには原告適格は認められて取消訴訟が提起できる。
4執行停止
訴えの利益(9条1項括弧書)とは本件建築確認を取り消す必要性のこというが、建築確認は適法に建築ができることができる権利を付与する行為であり、建築工事が完了してしまえば建築確認を取り消す必要性はなくなるため、訴えの利益は消滅する。そのため、建築確認を阻止するために、執行停止の申し立てをする。
まず、FGHに重大な損害があるか。重大な損害について25条3項の規定に従い判断する。
本件では、本件建築物がいったい建築されれば、火災が起こった場合や、本件建築物に居住する者が利用する車により交通量がふえ交通事故が発生する場合があり、これらは生命身体とい一度失えば回復することがでいないほどのうかけがえのない法益に関わるものである。そのため、重大な損害があるといえる。
次に緊急の必要があるか検討する
一度着工すれば本案継続中に建物が完成する可能性が十分にあり、訴えの利益が消滅する可能性があるため、建築物が完成する前に工事の続行の停止を中止させる緊急の必要はある。
よって、執行停止(25条2項)は認められる。
第2設問2
1実体法違反
(1)安全条例
43条2項を受けた安全条例4条1項、2項は、接道規制として延べ面積300平方メートル、高さ15メートル以上の建築物は幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならない。本件マンションは、延べ面積が2万1643平方メートルと、300平方メートルをはるかに超え、高さも30メートルと、15メートルを大きく超えている。そのため、法43条2項を受けた安全条例4条1項、2項の要件を満たすから、本件土地は幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならない。
接道規制(法43条2項、安全条例4条1項、2項)の趣旨は、一般通行の他避難、消防等の上で支障のないようにすることにあるから、「幅員6メートルの道路」とは、車両が何の障害もなく通行できる幅が6メートルあるものを指すと解すべきである。
形式的には本件道路は幅員6メートルがあり「幅員6メートルの道路」といえる。しかし、本件道路は、L神社によって遮断機が設置されており、遮断機が下りた状態では車の通行が不可能であり、遮断機を上げた状態でも実際に車が通行できる道路幅は3メートル弱しかないことから、実質的にみれば、幅員6メートルの道路に接していないこととなる。これは、接道義務の趣旨にはんするといえ、本件道路は「幅員6メートルの道路」にはあたらない。
よって、本件道路は、接道規制に反する違法である。
(2)安全条例27条4号違反
本件児童室は、「これに類するもの」に該当する。この場合、本件児童室の出入り口から20メートル以内の道路に面して、自動車の出入り口を設けられていない(安全条例27条)が、本件では、児童室専用出入り口から10メートルのところに本件建築物の地下駐車場出入り口が設けられている。したがって、安全条例27条に反するから違法である。
2手続法違反
(1)説明会
建築主は建設計画の内容について説明等によて付近住民に説明しなければならない(本件紛争予防条例6条1項)。
Aの開催した説明会は、情報の開示が不十分で、住民が質問の機会を与えず、一方的に説明会を打ち切るなど、住民に対する説明という観点からは瑕疵があった。
しかしながら、説明会の瑕疵は本件確認の違法事由とはならない。なぜなら、計画が建築基準関係規定に適合するときには、必ず建築確認をしなければならない(法6条4項)。
よって、この点の違法は認められない。
(2)公聴会
行政手続法10条は、公聴会を開催する努力義務が課されている。
公聴会の必要性を判断するのは行政庁であり、また、公聴会の開催は努力義務である。そして、近隣関係住民の意見は、本件土地の周辺住民で構成するD地域の生活環境をも守る会の申し入れ書を受理することで意見聴取はされている。
したがって、公聴会の開催義務まではなく努力義務が課されるのみであるから、公聴会を開催しなくても行政手続法10条違反にはならないため違法ではない。
3Fの主張
原告は「自己の法律上の利益」に関係ない違法を主張することはできない(10条1項)。「自己の法律上の利益」とは、法律上の利益とは9条1項の法律上の利益は訴訟要件の問題であり、10条1項が本案上の問題であることからすれば、9条1項の法律上の利益と同義ではない。
したがって、「自己の法律上の利益」とは、原告の利益に関係のない違法に限って主張を禁じている。
Fは交通弱者ではないから、安全条例27条4号が保護する利益に関係なく、Fの利益に関係ないといえる。よって、Fは「自己の法律上の利益」に関係ないから安全条例27条4号の違法を主張できない。
本件紛争予防条例違反はFは近隣住民に該当するため、説明会の開催により建築物の工事の内容を把握する立場にありFの利益に関係があるといえる。よって、本件紛争予防条例違反は、Fの「自己の法律上の利益」に関係ある違法として主張することができる。
Fは本件建築物から、10メートル以内に居住する地点にあるマンションの一室に居住ている者であるから、防災上の観点からFの利益に関係があると言える。よって、Fは「自己の法律上の利益」に関係あるから接道義務違反は主張することができる。
平成20年行政法
2013年10月2日 新司過去問《行政法》第1 設問1
1 法的手段
①勧告の取消訴訟(行政事件訴訟(以下、省略する)3条2項)と処分の続行による執行停止(25条2項)②勧告に従う義務のないことの地位を確認する実質的当事者訴訟(4条後段)③公表の差止め訴訟(3条7項、37条の4)と仮の差止め訴訟(37条の5第2項)が法的手段として考えられる。
2 まず①の法的手段を検討する。
勧告の取消訴訟が認められるには勧告が「処分」(3条2項)であることが必要である。
「処分」とは公権力主体たる国または地方公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、または、その範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
勧告は都道府県知事が行うものである(法103条1項)。そのため、公権力主体たる地方公共団体が行う行為であるといえる。
法97条2項3項の基準に適合しない場合には勧告できる(法103条1項)。
勧告は行政指導であるため、強制力がないため国民の義務を形成するものでない。もっとも、勧告に従わないときは、公表(103条2項)、業務停止命令(103条3項)、開設許可取り消し(104条1項柱書)が行われる。これらは、勧告から期限が定められて行われるものではなく勧告から特に障害なく行われるものであるから、勧告の従わないと公表、業務停止命令、開設許可取り消しという不利益を被る。
とすれば、勧告に従う義務を課されているといえ直接国民の義務を形成している。
よって、勧告が「処分」(3条2項)であることが認められる。そして、その他の取消訴訟の要件も満たす。
では、処分の続行の執行停止は認められるか。
「重大な損害」があるか。重大な損害が生ずるかは否かを判断するにあたっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容性質をも勘案するものとする。
勧告書に書かれていたように公表がされ、市民からの信頼が失われる。信頼という社会的信用は一度失われると回復の困難の程度が大きい。そして、多くの利用者が本件施設を離れてしまうと経営難になるから、損害の性質及び程度は大きい。
よって、公表には重大な損害が認められる。
公表は勧告から期限が定められて行われるものではなく勧告から特に障害なく行われるものであるから、勧告が行われた今の時点で執行停止をしなければ不利益を被るといえ、「緊急の必要」がある。そして、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」(25条4項)はなく、「本案について理由がないとみえる」(25条4項)ときでない。
よって、処分の続行の執行停止は認められ、公表の阻止を行うことができる。
3 次に、②の法的手段を検討する
勧告について処分性が認められる以上、実質的当事者訴訟を提起することはできないため、勧告に従う義務のないことを確認する実質的当事者を提起することはできない。
4 最後に③の法的手段を検討する。
差止め訴訟が認めれるには、公表が処分であることが必要である。
公表はB県知事がする(法103条2項)ものであり、公権力主体が行う行為である。公表は、情報提供行為であり事実行為である。もっとも、勧告に従わないと公表を受けることから、制裁的公表的性格を有するといえる。公表され内容に従う義務を課されるから、国民の義務を形成させている。
よって、公表は「処分」といえる。
もっとも、勧告に処分があると認められ、執行停止が認められる以上、「その損害を避けるため他に適用な方法がある」といえる。
よって、差止め訴訟を行うことはできない。
5 各制度の比較
実質的当事者は認めらない。差止め訴訟は認められず、また、差止めを認められたとしても、仮の差止めの要件は執行停止よりも厳格である。そのため、勧告の取消訴訟と処分の続行の執行停止が最も適切な訴訟手段である。
第2 設問2
1 調査
(1) 実体違法
知事は当然に実地指導を先行させる義務を負わない。しかし、他の施設では行政指導として実施指導が行われている。それにもかかわらず、本件施設に対していきなり罰則を前提とした間接強制調査を実地しており比例原則及び平等原則違反がある
(2) 手続違法
B県職員が身分証を提示しなかった点は法102条が準用する法24条3項に違反し違法である。
B県職員が帳簿書類等をダンボール箱に詰めて持ち帰った行為は「押収」にあたる。。これは法100条1項に規定されていないことを行うものであって違法である。
2 調査の違法が勧告に及ぼす影響
調査に違法な点があっても、調査によって得られた結果自体に誤りがあるとは限られない。当然に勧告が違法となるわけではない。
しかし、適正手続きの観点から、後行行為と密接に関連する先行行為の重大な瑕疵は、後行行為の違法性を基礎付ける。
本件調査は、勧告の前提にあり、これに密接関連する先行行為である。
そして、身分証の不呈示は、調査を受けた者が責任の所在を把握することができず、不服申し立ての機会を失うため、重大な違法であるといえる。
よって、本件調査の違法は、後行行為たる韓国自体を違法とする影響を及ぼす。
3 勧告の違法
(1)実体違法
ア 「専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する者」(法97条2項、省令2条4項)を計算にあたって考慮に入れる必要がある(省令2条3項)。週5日働いている看護師2名、介護職員5名は週5日も継続して働いているため、「専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する者」といえる。しかし、勧告は前提となる事実について、一部の出勤簿を対象としていない上、人員の把握を誤ったものである。
よって、事実誤認の違法がある。
イ 省令13条4項は「緊急やむを得ない場合」は身体拘束をすることができる。
ベッドからの転倒防止を第1に考え、5時間に限って入所者家族の同意に下に1名のベッドに柵を設置している。これは入所者の生命身体を保護するために行われたものであり、緊急やむを得ないものであるといる。
そのため、省令13条4項の身体拘束には該当せず、事実誤認の違法がある。
(2)手続違法
ア 勧告は処分性が肯定されるものであり、勧告はB県知事が行うものであり不利益処分(行政手続法(以下、行手法と省略する)3条3項)となる。そのため、理由の提示(行手法14条1項)が必要である。理由の提示の記載は、理由の提示の趣旨が行政庁の判断の恣意を抑制し、不服申し立ての便宜を図ることにあるから、いかなる事実関係に基づきいなかる法規を適用したかをその記載自体から了知しうるものであることが必要である。
勧告書には勧告の基礎となる事実は示されていなかったのあるから、いかなる事実関係に基づき勧告がなされてたかの記載自体から了知することができない。
よって、理由提示の記載が不十分であり、行手法14条1項に反する。
イ 勧告は不利益処分であるため弁明の機会を付与する必要がある(行手法13条1項2号)調査以来、B県からは何の連絡もなく問い合わせに一切応じてこなかった状況の中で、いきなり勧告書が交付されている。そのため弁明の機会が付与されていないため、行手法13条1項2号違反がある。
以上
1 法的手段
①勧告の取消訴訟(行政事件訴訟(以下、省略する)3条2項)と処分の続行による執行停止(25条2項)②勧告に従う義務のないことの地位を確認する実質的当事者訴訟(4条後段)③公表の差止め訴訟(3条7項、37条の4)と仮の差止め訴訟(37条の5第2項)が法的手段として考えられる。
2 まず①の法的手段を検討する。
勧告の取消訴訟が認められるには勧告が「処分」(3条2項)であることが必要である。
「処分」とは公権力主体たる国または地方公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、または、その範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
勧告は都道府県知事が行うものである(法103条1項)。そのため、公権力主体たる地方公共団体が行う行為であるといえる。
法97条2項3項の基準に適合しない場合には勧告できる(法103条1項)。
勧告は行政指導であるため、強制力がないため国民の義務を形成するものでない。もっとも、勧告に従わないときは、公表(103条2項)、業務停止命令(103条3項)、開設許可取り消し(104条1項柱書)が行われる。これらは、勧告から期限が定められて行われるものではなく勧告から特に障害なく行われるものであるから、勧告の従わないと公表、業務停止命令、開設許可取り消しという不利益を被る。
とすれば、勧告に従う義務を課されているといえ直接国民の義務を形成している。
よって、勧告が「処分」(3条2項)であることが認められる。そして、その他の取消訴訟の要件も満たす。
では、処分の続行の執行停止は認められるか。
「重大な損害」があるか。重大な損害が生ずるかは否かを判断するにあたっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容性質をも勘案するものとする。
勧告書に書かれていたように公表がされ、市民からの信頼が失われる。信頼という社会的信用は一度失われると回復の困難の程度が大きい。そして、多くの利用者が本件施設を離れてしまうと経営難になるから、損害の性質及び程度は大きい。
よって、公表には重大な損害が認められる。
公表は勧告から期限が定められて行われるものではなく勧告から特に障害なく行われるものであるから、勧告が行われた今の時点で執行停止をしなければ不利益を被るといえ、「緊急の必要」がある。そして、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」(25条4項)はなく、「本案について理由がないとみえる」(25条4項)ときでない。
よって、処分の続行の執行停止は認められ、公表の阻止を行うことができる。
3 次に、②の法的手段を検討する
勧告について処分性が認められる以上、実質的当事者訴訟を提起することはできないため、勧告に従う義務のないことを確認する実質的当事者を提起することはできない。
4 最後に③の法的手段を検討する。
差止め訴訟が認めれるには、公表が処分であることが必要である。
公表はB県知事がする(法103条2項)ものであり、公権力主体が行う行為である。公表は、情報提供行為であり事実行為である。もっとも、勧告に従わないと公表を受けることから、制裁的公表的性格を有するといえる。公表され内容に従う義務を課されるから、国民の義務を形成させている。
よって、公表は「処分」といえる。
もっとも、勧告に処分があると認められ、執行停止が認められる以上、「その損害を避けるため他に適用な方法がある」といえる。
よって、差止め訴訟を行うことはできない。
5 各制度の比較
実質的当事者は認めらない。差止め訴訟は認められず、また、差止めを認められたとしても、仮の差止めの要件は執行停止よりも厳格である。そのため、勧告の取消訴訟と処分の続行の執行停止が最も適切な訴訟手段である。
第2 設問2
1 調査
(1) 実体違法
知事は当然に実地指導を先行させる義務を負わない。しかし、他の施設では行政指導として実施指導が行われている。それにもかかわらず、本件施設に対していきなり罰則を前提とした間接強制調査を実地しており比例原則及び平等原則違反がある
(2) 手続違法
B県職員が身分証を提示しなかった点は法102条が準用する法24条3項に違反し違法である。
B県職員が帳簿書類等をダンボール箱に詰めて持ち帰った行為は「押収」にあたる。。これは法100条1項に規定されていないことを行うものであって違法である。
2 調査の違法が勧告に及ぼす影響
調査に違法な点があっても、調査によって得られた結果自体に誤りがあるとは限られない。当然に勧告が違法となるわけではない。
しかし、適正手続きの観点から、後行行為と密接に関連する先行行為の重大な瑕疵は、後行行為の違法性を基礎付ける。
本件調査は、勧告の前提にあり、これに密接関連する先行行為である。
そして、身分証の不呈示は、調査を受けた者が責任の所在を把握することができず、不服申し立ての機会を失うため、重大な違法であるといえる。
よって、本件調査の違法は、後行行為たる韓国自体を違法とする影響を及ぼす。
3 勧告の違法
(1)実体違法
ア 「専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する者」(法97条2項、省令2条4項)を計算にあたって考慮に入れる必要がある(省令2条3項)。週5日働いている看護師2名、介護職員5名は週5日も継続して働いているため、「専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する者」といえる。しかし、勧告は前提となる事実について、一部の出勤簿を対象としていない上、人員の把握を誤ったものである。
よって、事実誤認の違法がある。
イ 省令13条4項は「緊急やむを得ない場合」は身体拘束をすることができる。
ベッドからの転倒防止を第1に考え、5時間に限って入所者家族の同意に下に1名のベッドに柵を設置している。これは入所者の生命身体を保護するために行われたものであり、緊急やむを得ないものであるといる。
そのため、省令13条4項の身体拘束には該当せず、事実誤認の違法がある。
(2)手続違法
ア 勧告は処分性が肯定されるものであり、勧告はB県知事が行うものであり不利益処分(行政手続法(以下、行手法と省略する)3条3項)となる。そのため、理由の提示(行手法14条1項)が必要である。理由の提示の記載は、理由の提示の趣旨が行政庁の判断の恣意を抑制し、不服申し立ての便宜を図ることにあるから、いかなる事実関係に基づきいなかる法規を適用したかをその記載自体から了知しうるものであることが必要である。
勧告書には勧告の基礎となる事実は示されていなかったのあるから、いかなる事実関係に基づき勧告がなされてたかの記載自体から了知することができない。
よって、理由提示の記載が不十分であり、行手法14条1項に反する。
イ 勧告は不利益処分であるため弁明の機会を付与する必要がある(行手法13条1項2号)調査以来、B県からは何の連絡もなく問い合わせに一切応じてこなかった状況の中で、いきなり勧告書が交付されている。そのため弁明の機会が付与されていないため、行手法13条1項2号違反がある。
以上