第1 設問1
 1 小問(1)
  物上保証人BはCに対して検索の抗弁(民法(以下省略する)453条)を主張できるか。
  まず、「保証人」(453条)には物上保証人は含まれるか問題になる。
  検索の抗弁(453条)は第一次的には主債務者が責任を負い第二次的に保証人が責任を負うという補充性を根拠として認められるものである。
  物上保証人については、抵当権の設定された当該不動産の価格の責任を負うだけで補充性を有しない。
 そのため、物上保証人ついては補充性を根拠とする検索の抗弁は認められず、「保証人」に物上保証人は含まれない。
 よって、453条は適用されない。
 次に453条が類推手適用されるか問題になる。
 物上保証人は補充性を有さないため、補充性を根拠とする検索の抗弁は類推の基礎を欠くといえる。
 よって、453条が類推適用されない。
2 小問(2)
(1) 事前求償
 BはAに対してあらかじめ求償権を行使できるか。
 委託を受けて保証をした者は事前求償をすることができる(460条)。では、委託を受けた物上保証人に460条が直接適用されないにしても、460条が類推適用されるか問題になる。
 その趣旨は、委任契約であれば委任に基づく事務処理費用は本来的に委任者の費用であるとして前払請求できるところ、委託を受けて保証をした場合は事務処理である債務負担行為であるため、債務の弁済をした費用を求償させて公平を図るところになる。
 一方、物上保証人の場合の事務処理は物的負担を負うものであり、債務負担行為ではないから、460条の趣旨がが妥当しない。
 よって、物上保証人には460条は類推適用されない。
 したがって、BはAに対してあらかじめ求償権を行使できない。
(2)事後求償
 委託を受けて保証をした者は、459条1項により求償できる。物上保証についても旧称をすることができる(371条、351条)
 よって、Bは抵当権設定者であり物上保証人であるから、求償権を行使することができる(371条、351条)。
第2 設問2
 1 EはBに対して甲土地について遺留分減殺請求(1031条)をすることができるか。以下、検討する。
 まず、Aが死亡する約2ヶ月前にAは甲土地をBに贈与(549条)しているため、相続開始前の1年間のなされたものである。そのため、遺留分減殺請求の行使期間内である(1031条、1030条)。
 次に、遺留分減殺請求の範囲は、EはAの子であり、EはAの直系尊属ではないから、1028条2号が適用され、Aの財産の2分の1になる。
 よって、遺留分減殺請求権が形成権であるから、AがBに対してした甲土地贈与は2分の1の範囲で失効する。
 したがって、EはBに対して甲土地について遺留分減殺請求(1031条)をすることができ、Eは甲土地の2分の1について所有権を有する。
 2 Eは甲土地の2分の1について所有権を有することから、甲土地は2分の1づつEとBの共有(249条)状態になる。
                                                    以上