・株主優待金は「利益配当」か(最判昭和35年10月7日)
第1 所得税法上の取り扱い
剰余金の配当とは、損益計算上の利益を株金額の出資に対して株主に支払う金額のことをいう
∵会社法上の剰余金の配当と同じである。つまり、借用概念である。
所得税法上の利益配当は、会社法上違法な配当(蛸配当)でも「剰余金の配当」に当たる。しかし、株主優待金は会社の損益の計算上利益の有無にかかわらずもらえるものであるから出資に対する利益と支払われるものとはいえず、「剰余金の配当」とはいえない。
∴株主優待金は配当所得に当たらない。
→雑所得になる。
※配当所得であれば源泉徴収義務を負う。
第2 法人税法の取り扱い
法人税法上は、株主優待金が損金として計上されるか問題となる。
資本取引(法22条5項)からは損金が生じない(法22条3項3号)。よって、資本金の額の減少を生ずる取引や、利益または剰余金の分配、残余財産の分配を行っても、損金の額に算入することができない。ここに、利益または剰余金の分配には単に法人が配当や分配をしたものだけでなく「株主等に対しその出資者たる地位に基づいて供与した一切の経済的利益を含む
ものと解する。
 株主優待金は損金不算入である(判例)
 ∵株主優待金は実質的には株主が払い込んだ株金に対して支払われる。そして、会社から株主たる地位にある者に対し株主たる地位に基づいてなされる金銭給付は、法人税法上は配当といえるからである。

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