損害賠償請求権の益金計上時期の論証
2013年6月23日 《論証》租税法・平成21年東京高裁(暗記)
詐欺や横領により損害賠償請求権を取得
《問題点》どの時点が収益の計上時期か ①②③の時点でどれか
①事件発生→②事件発覚→③和解などにより金銭確定
詐欺行為による損害の額は、盗難、横領による損害の場合と同じく、財産を不法に領得されたことによる損害として、「損失」(法22条3項3号)の額に該当する。不法行為の被害者として法人が損害賠償請求権の行使によって取得すべき金額は、損益取引に係る収益(法22条2項)に該当する。
原則として、不法行為による損失については当該損失が生じた事業年度の損金の額に算入することとし、これと同時に取得する損害賠償請求権を同事業年度の益金の額に算入する。∵他人の不法行為により損害を受けた場合にはその損害の発生と同時に損害賠償請求権を取得するという私法上の法的基準と合致させ、また、不法行為による損失と損害賠償請求権が同一の原因から生ずるものであることから、損金と益金とを同一事業年度に計上すべきだからである(同時両建説)。
不法行為による損害賠償請求権については、権利が法的には発生しているといえるが、未だ権利実現の可能性を客観的に認識することが期待できない場合もあり益金の計上時期とすべきではない場合もある。そのため、当該事業年度に損失を損金として計上し、損害賠償請求権しての益金は別の年度に計上する取り扱いを認めるべきである(一言でいえば、損害賠償請求権の特殊性)。
ただし、この判断には、税負担の公平や法的安定性の観点からして客観的にされるべきものであるから、通常人を基準にして権利の存在・内容等を把握しえず権利行使が期待できないといえるような客観的状況にあったかどうかという観点から判断する。
また、当初から損害賠償請求権が全額回収不法であれば当該事業年度に貸倒損失(法人税法22条3項3号)として損金算入できる。☆要注意☆:詐欺・横領の問題点
詐欺や横領の場合には、
①損失の計上時期
②損害賠償請求権の益金計上時期
③損害賠償請求権に係る貸倒損失の損金計上時期
の3つの問題点がある。
〈箇条書きメモ〉
税大の論文で、「不法行為に係る損害賠償金等の帰属の時期-法人の役員等による横領等を中心に-」矢田 公一が素晴らしい。
調査官は日本総合物産事件で一応同時両建てなんだっていってるみたい。
答案で書くときは使い分けをする。
答案で短く書く時は同時両建説。長く書き時はこのまま。中くらいに書くときは損が賠償請求権の特殊性とか短縮する言葉を使って書く。
あとは、増井先生の法学教室の連載がよくまとまっていると思う。
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