ストックオプションの論証
2013年6月26日 《論証》租税法・ストック・オプション(非適格ストック・オプション)
第1 所得税法上の取扱い
1 所得分類
会社の役員・従業員に付与されたインセンティブ報酬としてのストックオプション(新株予約権等)の行使による経済的利益も現物給付の一種である。
会社が役員に職務執行の対価として付与されるものであるから、ストック・オプション行使益は給与所得として課税される。☆あてはめPOINT☆:ストックオプションに行使条件が付されている場合
所得分類:給与所得になるという前提で、一時所得との区別(対価性)、雑所得との区別(雇用契約に類する関係)が問題になる
視点:条件を具体的にみて従業員として会社に残る制限の対価としての性質を有しているかをみる。
《条件の具体例》
・譲渡制限
・行使期間制限
・従業員の時のみ行使できる
2 収入時期(金子説)
ストック・オプションは株式の売買の一方の予約又はこれに類似する法律関係から発生した予約完結権であり、付与時には権利行使が不確定であるから権利として確定していない。行使時に収入すべき権利として確定される。★百選㊵は譲渡制限付き株式である点に着目して行使時に権利確定とした。行使時しか経済的利益でない。★
よって、ストック・オプション行使時点に所得の実現を認識され行使時が課税されるタイミングとなる(所36条)。
第2 法人税法上の取り扱い
1 益金・損金算入
役務提供の対価としてその個人に生ずる債権を新株予約権と引き換えにする払込みに代えて相殺されて、新株予約権が付与される。
「役務提供に係わる費用」(法54条2項)として損金算入されるのは、新株予約権の発行時の価額に相当する金額である。費用計上時期は、オプションの権利行使日に属する事業年度である、すなわち、権利行使されるまで損金算入されない(法54条2項)。
ストック・オプション不行使の場合には消滅した場合は、消滅の利益は、益金の額に算入しない(法54条3項)。☆要注意☆
要注意1:自己株式の交付
自己株式を取締役に交付するか会社の行為は、「資本等取引」(法22条5項)に該当するため、損益は発生しない。
要注意2:新株発行
新株発行をすることを採用した場合でも、新株発行は「資本等取引」(法22条5項)に該当するため、損益は発生しない。
要注意3:法54条1項の適用・不適用
法54条1項の適用がある場合には、会社が取締役から役務提供を受ける場合で、当該役務提供に係わる費用の額につき、その対価として新株予約権を発行したときである。当該役務提供に係わる費用でないと不適用。
2 払込金額の超過・過小
新株予約権と引換えに払い込まれる金銭の額が、新株予約権の発行時の額に満たない時に、またはそれを超えるときは、未満の金額または超過部分の金額は、損金の額または益金の額に算入しない(法54条5項)。∵新株予約権の発行が資本取引に準ずる性格を有しているからである。
譲渡制限とかかかっていなかったら帰属時期は付与時になる可能性あり。
二重利得法的に考えることができるかが論点になる。(予備校答練に出てた。)
施行令の84条に注意。
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