・損益通算制度の概要
各種所得の金額を計算する場合に、ある種の所得についてマイナスがでることがある。その場合には総合所得課税の建前から、他の所得のプラスとの相殺を認める必要がある。→包括的所得概念から説明する考えたとしてスタンダード所得法、租税法演習ノート21を参照
そこで、所得税法は、不動産所得の金額または事業所得の金額、山林所得の金額または譲渡所得(富士山上(不、事、山、譲))の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、それをその他の各種所得の金額から控除する旨を定めている。これを損益通算という。
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・損益通算制度の趣旨
損失に事業・投資活動の回収部分があるために認められる。
損失は事業や投資に関わるコストであり、損失の通算が認めないならば、事業や投資における危険負担について意思決定が中立でなくなるとされる。←課税の中立性
・純損失・雑損失の繰越控除(所70条、71条)※純損失・雑損失の定義規定(2条)を確認
純損失(所2条1項25号)とは損益通算を行ってもなお残る損失の金額のことをいう。
青色申告をしていた年に生じた純損失は、その後3年間にわたって繰り越して将来の所得から控除することができる(所70条1項)
・「生活に通常必要でない資産」(所69条2項、所62条)に係わる譲渡損失
①趣旨
趣味または娯楽のために行為には、家事費消の性格があると考えられ、損益通算の趣旨は損失に事業・投資活動の回収部分があるために認められるところ、その趣旨に合致しないからである。
②「生活に通常必要でない資産」の解釈
譲渡損失について損益通算が否定される趣旨である所得の処分・消費という性格から、所令178条 1項は①事業用を除く競走馬その他射倖的行為の手段となる動産②主として趣味、娯楽、保養、または鑑賞の目的で所有する不動産③生活の用に供する動産のうち所得税法施行令25条の「非課税とされる生活用動産」に該当しないものを指す。☆補足☆③効果
補足1:「非課税とされる生活用動産」とは?
「非課税とされる生活用動産」とは、貴石等または美術品等で単価30万円を超えない動産をいう。
補足2:所62条括弧書きの除外事由
生活に通常必要でない資産の損失の金額は保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額を除く(所62条括弧書き)
補足3:譲渡損失について損益通算が否定される趣旨
譲渡損失について損益通算が否定される趣旨は所得の処分・消費的性格を有することにあるため、投資や事業目的という営利目的の保有である場合には、「生活に通常必要な資産」に該当することになる。
損益通算上生活に通常必要でない資産に係る損失の金額については、なかったものとみなされる(所69条2項)。損益通算を否定されることになる。
損益通算の計算の説明について
http://tax.finance-information.biz/90/post-27.php
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