・雑損控除(所72条)
・趣旨
雑損控除を認める根拠は、災害等による異常な損害で減殺した担税力に対応して公平な課税を実現することにある。
・要件
①納税者、生計を一にする親族が所有する資産に損害が生じること
②対象となる資産が事業用資産(62条1項)、生活に通常必要でない資産(70条3項)でないこと
③損害発生原因が「災害」または「盗難・横領」であること
④損害額がその年の総所得金額等の10%を超えること

②対象となる資産が棚卸資産または事業用固定資産(70条3項)、生活に通常必要でない資産(62条1項)でないこと
→生活に通常必要でない資産(62条1項)は、施行令が規定している。所令178条1項→所令25条(生活に通常必要でない動産。
 譲渡損失について損益通算が否定される趣旨である所得の処分・消費という性格から、所令178条 1項は①事業用を除く競走馬その他射倖的行為の手段となる動産②主として趣味、娯楽、保養、または鑑賞の目的で所有する不動産③生活の用に供する動産のうち所得税法施行令25条の「非課税とされる生活用動産」に該当しないものを指す。
 結局、雑損控除の対象とされる資産は、(ア)居住用の不動産(イ)生活で通常使用している動産類(ウ)事業ではない所得稼得活動の用に供されている資産等である。
☆補足☆
補足1:「非課税とされる生活用動産」とは?
「非課税とされる生活用動産」とは、貴石等または美術品等で単価30万円を超えない動産をいう。
補足2:所62条括弧書きの除外事由
生活に通常必要でない資産の損失の金額は保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額を除く(所62条括弧書き)
☆要注意☆
要注意1:所62条でカバーされてる
生活に通常必要でない資産は雑損控除受けられない。
↓でも
所62条で譲渡所得なら控除受けられる。
要注意2:雑損控除は「動産」でなく「資産」としている!
「資産」と「動産」の違いに注意する。
③損害発生原因が「災害」または「盗難・横領」であること
→(以下所得税法施行令9条)「災害」とは、①自然災害②人為による災害③生物による災害
「異常」とは、納税者の意思に基づかないことが客観的に明らかな、納税者が関与しない外部的要因を原因とするものであるから、納税者による当該事象の予測及び回避の可能性、当該事象による被害の規模及び程度、当該事象の突発性偶発性の有無などの事情を総合考慮して、社会通念上異常な災害性を具備しているか判断する。
④損害額がその年の総所得金額等の10%を超えること
 

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