・土地改良区決済金事件(最判18年4月20日)
〈事案〉
Xは農地を農地法などの許可を停止条件としてB社に譲渡した。Xは土地改良法42条2項に基づいて協力費を支払った。この協力費を譲渡費用に含めた。Yは譲渡費用に当たらないと更正処分。
〈判旨〉
譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得としてその資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものである。
しかし、抽象的に発生している資産の増加益そのものが課税の対象となっていない。原則として、資産の譲渡により実現した所得が課税の対象となっているものである。そうだとすれば、資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法33条3項にいう譲渡費用にあたるかどうかは、一般的抽象的に当該資産を譲渡するために当該費用が必要であるかどうかによって判断するのではなく、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的にみてその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断される。
 本件では、Xは本件土地を転用目的で譲渡するにあたっては本件決済金の支払いをしなければならないのである。本件売買を実現するために必要な必要であるといえる。
 また、協力金は買主にとって転用後の目的の事務を遂行するために必要な費用である。それを売主であるXが負担することによって、譲渡価格が上昇している。
 よって、本件決済金は譲渡費用に含まれる。
 ただし、賦課金等の未納入部分は譲渡費用に当たらない。

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