○債権放棄(適正所得算出説)
1 益金
法人税法22条2項は「無償による役務の提供」について、益金に算入されるとしている。無償による資産の譲渡等を益金算入しないと、独立当事者間で行われる取引との公平が確保できず、競争の中立性に反することから、経済的利益がないにもかかわらず適正価格での益金算入を定めた創設規定であると解する。
したがって、債権放棄も単なる債務免除益であるから公平が確保できず、競争の中立性に反する可能性があるため、「無償による…その他の取引」(法22条2項)として益金に算入される。
2 損金(H20)
寄付金(法37条1項)とは経済的利益の無償の供与のことをいう。
回収不能と認められない金銭債権について債権放棄がなされた場合は、原則として法人が行った無償による経済的利益供与であるから寄付金(法37条7項)に該当する。限度額超える部分は損金不算入である。
 もっとも、債権放棄その他の損失を負担した場合、今後より大きな損失の生ずることを回避するためにやむを得ず行ったものであり、かつ、社会通念上も妥当であると認められる合理的理由がある場合はその債権放棄等は実質的にみて対価性を有しており無償とは言えず寄付金に該当しないこととされ全額損金算入される。
①法律上の不能②事実上の不能③子会社等債権の回収不能

コメント