ゴルフ会員権の預託金請求権の論証
2013年8月27日 《論証》租税法・ゴルフ会員権の預託金請求権(譲渡所得か雑所得か争われた事案)
〈問題の所在〉
預託金制ゴルフクラブの会員が、そのゴルフクラブを退会し、預託金の償還を受けたが、その会員権の取得価額に比べると相当の損失が生じている。この場合、返還預託金額と取得価額との差額を譲渡損失として他の所得と損益通算することができるか。
〈論証〉
譲渡所得に対する課税は,資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として,その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に,これを清算して課税する趣旨のものと解される。
このような譲渡所得に対する課税の趣旨にかんがみると,同法33条1項にいう「資産」とは,一般にその経済的価値が認められて取引の対象とされ,資産の増加益の発生が見込まれるようなすべての資産を含むと解され,また,「譲渡」とは,有償であると無償であるとを問わず,一般に所有権その他の権利の移転を広く含むものと解される。
本件ゴルフ会員権は,いわゆる預託金会員制ゴルフ会員権であり,その法的性質は,①ゴルフ場施設の優先的利用権,②預託金返還請求権及び③会費納入義務等が一体となった契約上の地位であると解されるため、本件ゴルフ会員権は「資産」といえる
会員は,預託金の据置期間が経過するか否かにかかわらず,これらの権利義務関係を一体のものとして,一定の手続に従い自由に第三者に譲渡することができ,ゴルフ会員権に基づく法律関係から離脱するとともに,投下資本を回収することができることとされているから,本件ゴルフ会員権の第三者への譲渡が所得税法33条1項にいう資産の「譲渡」に該当する。」
「他方,預託金会員制ゴルフ会員権については,会員が,預託金返還請求権を行使する前提として,ゴルフ場経営会社に対し,ゴルフクラブを退会する旨の意思表示をすることを必要としており,かかる意思表示によって,ゴルフ場の優先的利用権やその後の会費納入義務などの権利義務関係は消滅し,ゴルフ会員権の内容としては,無利息でゴルフ場経営会社に据え置かれていた預託金の返還請求権を残すのみであると解されるゴルフクラブからの退会に伴って預託金返還請求権を行使することは,ゴルフ場経営会社に対する単なる金銭債権の行使にほかならないと解される。
「そうすると,譲り渡し人が取得した資産は,各種の権利義務が一体となった契約上の地位としての本件ゴルフ会員権であるのに対し,本件取引は,自らの意思で預託金返還請求権以外の権利義務等を消滅させた上,同請求権を行使したものであるから,両者の資産としての内容・性格は大きく異なっており,その間に差額を生じているとしても,これをもって所得税法33条1項にいう譲渡所得ということはできない。
そうすると,譲受人に係る損失は,譲渡所得の金額の計算上生じたものということはできず(雑所得の金額の計算上生じたものと解される。),したがって,他の所得と損益通算することはできないと解する。
したがって、(雑所得として計算され)譲渡所得の基因となる資産の譲渡により生じた損失には該当しないため、他の所得と損益通算することはできない。
ゴルフ会員権という権利の束をそのまま譲渡は譲渡所得
バラバラにしてしまうと別のものになってしまうから、譲渡所得にはならない。
通達を参考に論証を作ったほうがよかった・
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