資産損失の貸倒の必要経費算入(所51条2項)
①趣旨
納税者の担税力の喪失
②要件
①居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業
②その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額
③その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上
③効果
債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額を必要経費に算入する
④「債権の貸倒れ」の解釈(松山地裁平成17年4月26日)
債務者の資力の悪化を理由として貸倒損失を計上するためには、債権者の事業の遂行上生じた貸付債権等につき、その債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その弁済を受けることが困難であると認められる状況において、債務者に対し、債権放棄の意思表示をするなどして当該債権が法律上消滅した状態が当該年度中に生じること、又は、その債務者について事業閉鎖、所在不明その他これに準ずる事情が生じるなど、その資産状況、支払能力等からみて貸付債権等の全額が回収できないことが客観的に確実となり、法律上債権は存在するがその回収が事実上不可能である状態が当該年度中に生じることのいずれかが必要であって、特に当該貸付債権等について物的・人的担保があるときには、これを処分した後でなければ、事実上回収できない状態が生じたということはできないものと解するのが相当である。

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