○売上原価
商品・製品・原材料などのいわゆる棚卸資産の販売による利益の計算において、最も重要な費用の項目は、売上原価である。
・牛久市売上原価見積事件
原価となるべき費用が未確定である場合に、金銭を見積もって損金に算入できるか否かが解釈上問題となる
〈事案〉
Xが土地を購入して造成し、宅地として販売したところ、その土地の売り上げ原価が損金に算入できるか争われた。この開発行為には茨城県知事の許可が必要であった。そのため、X社に対し排水路を整備するよう指導し、X社はこれを了承した。X社は牛久市の同意を得て、茨木県知事から開発許可を受けた。X社は、排水路の工費を1億4668万円と見積もり当該事業年度の土地の販売収益にかかる売上原価の額として損金に算入し、確定申告した。
検察官はX社が架空経費を計上したとして法人税法違反であるとして起訴した事案である。
〈判旨〉
売上原価は、費用(法22条3項2号)と違い債務確定が要求されていない。また、特定の収益に係る義務的経費は費用収益対応の原則から売上原価とすべきである。
∴近い将来に売上原価を費用とし支出することが相当程度の確実性をもって見込まれている場合は損金算入できる。
当該事業年度終了の日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能であった。
∴費用として債務が確定していなくとも適正な見積金額を売上原価(法人税法22条3項1号)として損金に算入できる。

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